昨季までのメインスポンサーが責任を負うことのやりきれなさ
ヒアリングで問題の担当者は「広告収入減を避けるために行なった」という周囲の見方を否定しているが、上乗せの背景として苦戦する入場者数があったことは十分に考えられる。
V・ファーレンは、J参入から2016シーズンまでの4年間で2度「J1昇格プレーオフ」に出場しているが、Jリーグ参入初年度の2013シーズンに129,517人を記録後、翌シーズンには3万人弱が減少。その後も集客は伸び悩みクラブにとって大きな課題となっていたのである。
その中でも担当者は、今年2月のサポーターズミーティングで「2015シーズンからは微増の傾向」と入場者数について説明しているが、上乗せ分を修整した入場者数は2015シーズンが97,304人、2016シーズンが97,125人と共に10万人に達しておらず、減少は続いていたのである。
「集客に特効薬はない」とはスタジアムビジネスの基本であるが、年々減少する集客数が、入場者へのホスピタリティ向上やPRなどで地道に入場者を増やす余裕を奪い、安易に数字だけでも集客増を達成したいという空気を生んでいた部分はあったはずだ。
今回の公式試合入場者数上乗せの問題は、現在、クラブの運営を行うジャパネットグループが一切関与していないにも関わらず、前体制に代わって責任を負うことで終息することとなった。
だが、現在クラブの運営を行うジャパネットホールディングスは、今年の4月までチームのメインスポンサーとして広告費を出していた側であり、上乗せが最大に行なわれた試合が、ジャパネットの冠マッチであったことを思うと、何ともやりきれないものを感じずにはいられない。
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