カップ戦ならではの下剋上は生まれるか
1999シーズンから3年間、J2を含めたすべてのJクラブが一堂に会して、決勝戦を除いてホーム&アウェイ方式のノックアウトステージ方式でヤマザキナビスコカップが開催されてきた。短い歴史のなかで強烈な残像を刻んでいるのが、くしくも大熊監督に率いられたFC東京となる。
首都・東京を本拠地とする、初めてのプロクラブとしてJ2に参戦した1999シーズン。ヴィッセル神戸、ジェフユナイテッド千葉(当時)、横浜F・マリノスのJ1勢を次々と撃破し、堂々のベスト4に進出する大旋風を巻き起こした。
最終的には鹿島アントラーズの前に2戦合計で1‐3のスコアで敗れたが、まだ味の素スタジアムが開場していないなか、旧国立競技場を舞台にした準決勝第2戦は1‐1のドロー。4万人を超える大観衆が、J2に参入して1年目のチームを後押しした。
いまも若手選手の登竜門になっているニューヒーロー賞にもMF佐藤由紀彦(現FC東京普及部コーチ)が選出されるなど、FC東京の存在感は一気にサッカー界で認知されるに至った。
J2が4回戦総当たりのリーグ戦となり、過密スケジュールとなった2002シーズン以降のヤマザキナビスコカップはJ1勢だけが参加するようになった。果たして、YBCルヴァンカップに名称を変えて3年目となる2018シーズンは、どのような下剋上が生まれるかも含めて楽しみになってきた。
(取材・文:藤江直人)
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