J1昇格を目指すクラブほど、難しくなっていた舵取り
イギリスの動画配信大手、パフォーム・グループが提供するスポーツのライブストリーミングサービス『DAZN(ダ・ゾーン)』と今年から10年間、総額約2100億円の放映権契約を結んだJリーグは、分配金に関してさまざまな改革をすでに定めている。
たとえば各クラブに一律に支払われる均等配分金は、J1で1億8000万円から3億5000万円とほぼ倍増している。これがJ2への降格となると大きな損失となるため、来シーズンからは「降格救済金」が創設されることも決まっている。
下のカテゴリーに降格した最初のシーズンに限って、前シーズンの均等配分金の80%が保証される仕組みで、J1からJ2に降格した場合は1億3000万円となり、そこにJ2の均等配分金の1億5000万円が加わることになっている。
さらにYBCルヴァンカップのグループステージを3試合、ホームで開催できることでリーグ戦以外の収入増も若干ながら見込める。村井チェアマンの言う「財政的な基盤」とは、まさにこの点を指す。
J2の場合、各クラブは実戦の場が減るという課題にも直面してきた。リーグ戦だけを戦うとなると、どうしても若手に経験を積ませる真剣勝負の場がなくなる。翌シーズンのJ1昇格を目指して、戦力をある程度整えているクラブほど、選手起用や育成で難しい舵取りを強いられてきた。
たとえば、チーム統括本部長と監督を兼任しながら昨シーズンのJ2で4位に入り、J1昇格プレーオフを制覇。3年ぶりのJ1復帰を決めた今シーズンはユン・ジョンファン監督にバトンを託し、前者に専念しているセレッソ大阪の大熊清氏はこう語っている。
「昨シーズンは正直、公式戦が少なった。その意味では今シーズンはYBCルヴァンカップや天皇杯も勝ち進んでいる。公式戦がある点で、J1のピッチに立つ11人以外のモチベーションが高くなるという結果につながっている。必然的に厳しい競争が生まれ、チーム全体のクォリティーが高くなっています」