「彼らよりうまくなりたい。早く追い越したい」(安部)
だが、安部はすぐにレギュラー奪取を考えているわけではない。「目の前の試合もすごく大事ですけど、長い目で見て2年後や3年後にどうなるかが大事だと思う。今日の試合がもしダメだったとしても、とりあえず次の練習を一生懸命頑張ろうというモチベーションになるので、今日が良かったからといって特に変わることもないですし、ひたむきに練習を続けていこうと思います」と改めて気を引き締めた。
試合を終えてあからさまにヨーロッパへの憧れと成長への欲求を口にする鈴木と、少年のように楽しみ、落ち着いて前を見据える安部。対照的なように見える2人がセビージャ戦を通して見つけた答えは、同じだったように思える。
世界で通用する選手になるための基準が、スペインの強豪との戦いの中で見つかった。それは彼らの脳裏に残り続け、常に意識しながら日々を過ごしていくことになるだろう。
安部は言う。
「彼らよりうまくなりたい。まだ自分は18歳ですし、まだまだ時間もありますし、当たり前ですけど一生懸命、毎日を無駄にせず、早く追いついて追い越したいなと思います」
鹿島の未来を担う若者たちの頭の中に刻まれたセビージャ戦での経験が、今後のキャリアにおいて重要なものになっただろう。それをいかに活かすかが、彼らの到達点の高さを決めることになるかもしれない。
(取材・文:舩木渉)
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