セビージャの選手が絶賛した鹿島の「9番」と「30番」
鹿島アントラーズとの試合を終えたあと、セビージャの選手たちは一様に不機嫌そうな表情でスタジアムの外に出てきた。ほとんどがメディアの取材を拒み、足早にバスに乗り込んでいく。
理由は明白。試合全体を通して主導権を握っていたにもかかわらず、終盤に2失点して鹿島に敗れたからだった。プレシーズンの1試合にすぎないが、彼らの根っこにある負けず嫌いな性質は我々の想像を超えていた。
取材に応じた数少ない選手の1人、左サイドバックとして先発出場していたセルヒオ・エスクデロは言った。「後半の交代がすごく効いていた。2ゴールを決めた9番とか。30番も違いを作れる選手だった。興味深い選手だよ」と。
スペイン代表歴を持つDFを唸らせた鹿島の9番は21歳の下部組織出身FW鈴木優磨、そして30番は高卒ルーキーの18歳・安部裕葵(ひろき)である。
ともに後半途中から出場した2人は72分、電光石火の攻撃でセビージャから先制点を奪い取った。右サイドの伊東幸敏からパスを受けた安部は左足の1タッチ目で鋭くターンしてステベン・エンゾンジをかわすと、一気にスピードを上げてスライディングにきたクレマン・ラングレを置き去りにする。
さらに慌ててカバーに入ったフランス代表DFセバスティアン・コルシアを巧みなダブルタッチでかわしてペナルティエリアへ侵入。最後は自分を追い越してきた鈴木にボールを渡してフィニッシュ。値千金の先制ゴールを流し込んだ若き背番号9は、お馴染みとなった「クリスティアーノ・ロナウドポーズ」で喜びを表現した。
高速ドリブルで3人を抜き去った安部は「(ドリブルは)本当に自分の得意なプレーなので、それがああいう相手にも通用するんだなというのは自信になった。あの局面で考えている余裕は正直ないので、自然と体が動いたという方が、言い方としては合っていると思います」と圧巻のアシストを振り返った。