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ドルト新監督が挑む“クライフ流”の大改革。刻まれたクロップのDNA、難航する再構築

text by 本田千尋 photo by Getty Images

クロップの遺産に呑まれたトゥヘル、志半ばでチームを去る

トゥヘル
トーマス・トゥヘル前監督はポゼッションサッカーの浸透を試みるも、最終的にたどり着いたのは元の場所だった【写真:Getty Images】

 フンメルス、ギュンドアン、ムヒタリアンといった主力が抜け、また新たにチームを作る必要があったトゥヘル政権2シーズン目も不安定な守備に苦しんだ。攻撃時の選手間の距離が悪く、ゲーゲンプレッシングを上手く仕掛けることができない。ボールロスト時に素早く守備に移るには、自分たちがボールを持っている時の選手同士の適切な距離感が重要となる。

 そしてトゥヘルが最終的に辿り着いたのはカウンターだった。守備の改善のために3バックを採用する。左右にウイングバックを配置して、実質的には5バックだ。中盤の人数は2人に削り、前線にはオーバメヤン、ロイス、プリシッチといった縦に速いアタッカーを起用した。重心をやや後ろに置いて、ボールを奪えばすぐに前の3人のスピードを活かして攻め込んだ。

 オーバメヤンを、レバンドフスキのようにターゲットマンとして活用することはなかったが、こうしたスタイルは、クロップ時代のサッカーの変形とも言えるだろう。確かに布陣とメンバーは違うが、プレッシング及びゲーゲンプレッシングを軸とするカウンターが本質である。

 トゥヘルは、ペップ流を持ち込み、サッキを始祖とするクロップのDNAを利用するつもりが、逆に呑み込まれてしまったのだ。

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