日本から韓国へ。変わりゆくベトナムのサッカー交流
2016年は、ベトナムの若きスターであるグエン・コン・フオン(元水戸)とグエン・トゥアン・アイン(元横浜FC)がJ2リーグに期限付き移籍を果たしたほか、ガンバ大阪とPVFアカデミー(PVF=ベトナムサッカー選手才能開発投資ファンド)が業務提携を結んで指導者派遣を行うなど、日本とベトナムのサッカー交流が特に活発な1年だった。
しかし、前述の両選手はすでにベトナムの所属元に復帰。今年に入って、Jリーグの“アジア戦略”が、本命ともいえる“東南アジアの雄”タイにシフトしたこともあり、日本とベトナムのサッカー交流は昨年ほど目立つものではなくなった。そんな中、協力関係を強めているのが、今年でベトナムとの国交樹立25周年を迎える韓国だ。
実は昨年、コン・フオンやトゥアン・アインが日本に上陸したのと時を同じくして、もう1人のスター選手、ルオン・スアン・チュオンがKリーグクラシック(韓国1部)の仁川ユナイテッドに期限付き移籍していた。
この3人は、いずれもベトナム国内で圧倒的人気を誇るホアン・アイン・ザライ(HAGL)の中心選手で、“黄金世代”と謳われた3年前のU-19ベトナム代表でも主力として活躍。スアン・チュオンは、HAGLでプロデビューを飾った2015シーズンに、弱冠20歳にしてトップチームのキャプテンを任されていた。3人のうちA代表でレギュラーを確固たるものにしているのは、現時点でスアン・チュオンだけだ。
韓国も日本と同様に“アジア戦略”を推進しており、人材や経済分野での交流が盛んなベトナム市場の開拓を急いでいる。因みに2016年時点で、在ベトナム韓国人は約14万人、在韓国ベトナム人は約13万7000人にのぼり、この数は年々増加傾向にある。