「ベルマーレに行ってよかったと思えるように」
年代別の日本代表に選出され続け、2011年のFIFA・U‐17ワールドカップではベスト8に進出したチームの中心を担った秋野を曹監督も高く評価。昨シーズンのベルマーレにかけていた、正確無比なパスの出し手としての期待をかけてオファーを出した。
「足は遅いけど、それでも怖がることなくボールへ行く姿勢や前へ出て行く力は、開幕のころよりも確実についている。まだ22歳と若いし、そういうプレーをよりできるようになればアイツの技術がさらに生きる」
ベルマーレの一員になって約半年。成長の跡がはっきりとわかるからこそ指揮官は目を細め、残りのシーズンでさらに成長を加速させたいと意気込む。曹監督の厚い信頼と深い愛情を背中に感じるからこそ、秋野も待望の移籍後初ゴールをマイルストーンにしたいと力を込める。
「相手のゴール前に出ていく回数や質は、今シーズンの課題としてあげていたので。それが実になってよかったですし、そういうプレーをできるようにするためにここに来たので。ちょっと時間がかかってしまいましたけど、ゴールという結果になってよかったし、これからどんどん増やしていきたい。
いまはまだ実感がないですけど、後々考えたときに、ベルマーレに行ってよかったと思えるように、これからもしっかりとやるだけですね。ただ、バックパスの数が減ったというか、自然と前を向けるようになったし、前への意識というのは少しずつ変わってきているのかなと思います」
天性のパスセンスを駆使するファンタジスタに、激しい闘いを厭わない体と心を融合させた理想の姿を求めて。真夏の消耗戦、勝負をかける秋の陣、そしてJ1昇格をかなえて最後にチーム全員で笑う大団円を思い描きながら、遠回りに映るJ2での戦いを最短ルートに変えるための秋野の挑戦は続く。
(取材・文:藤江直人)
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