試合後記者会見で、自ら秋野について語りだした指揮官
迎えた7月16日。ゼルビア戦から数えて12試合連続で先発に名前を連ねた東京ヴェルディとのJ2第23節で、秋野は追い求めてきた答えのひとつを手繰り寄せた。ホームのShonan BMWスタジアム平塚を埋めた、ファンやサポーターを驚愕させたのは後半33分だった。
左サイドでパスを受けたFW山田直輝が、素早くターンしてゴール前へパスを送る。MF石川俊輝が小さく落としたボールに、走り込んできた秋野がペナルティーエリアの外から左足を一閃する。アウトサイドにかかった強烈な弾道が対角線上を切り裂き、ゴール右へと突き刺さった。
視察に訪れていたアカデミー時代に薫陶を受けた恩師で、2015シーズンにはレイソルの指揮官として秋野を重用したヴァンフォーレ甲府の吉田達磨監督が「素晴らしい。本当に素晴らしい」と称賛した移籍後初ゴール。秋野も笑顔を弾けさせ、ガッツポーズを繰り返した。
「最初は(山田)ナオキ君からパスをもらって、そこからどうにかしようと思ったんですけど。トシ君(石川)にパスが入ったので、自分に落としてくれと要求しました。いいボールが来たし、感触もすごくよかったので、蹴った瞬間に入ると思いました」
リードを2点に広げる貴重な一発でダメを押したベルマーレは、そのままヴェルディを完封する。5勝2分けと7戦連続の負けなしで首位をガッチリとキープした試合後の公式会見。試合を総括した曹監督は「ちょっと秋野のことを話したいと思う」と、神妙な表情を浮かべながら自ら切り出した。
「後半のあの時間帯であそこまで出て行って、あのミドルシュートを決めるのはアイツにとってサッカー人生で何回かしかないというか、初めてだったかもしれない。でも、レイソルにいたときより成長したというよりは、秋野本人がもともともっていたものだと僕は思っている。
僕たち指導者がいかに障害をなくして、選手がもっているものを発揮させてあげられるかが、どれだけ大事なことか。このチームを引っ張りながら成長していって、日本のサッカー界をも引っ張っていけるような選手の一人になってほしいと、ゴールが決まった瞬間にすごく強く思いました」