監督はサッカーを教えるよりも、マネージャー的な存在に
7月5日、渋谷にあるBOOK LAB TOKYOにて「スペインサッカーから見た日本の現在地」というトークイベントが行われた。昨季までルイス・エンリケ監督の下でFCバルセロナのフィジカルコーチを務めラファエル・ポル(※17/18シーズンよりセルタのフィジカルコーチに就任)の著書『バルセロナフィジカルトレーニングメソッド』(カンゼン)の出版を記念したもので、訳者の坪井健太郎氏と監修を担当した筆者が登壇した。
「16/17のラ・リーガを振り返る」というテーマの第一部の冒頭で話題となったのは、欧州トップレベルの監督に求められるマネージメント能力だ。欧州ではそれに伴いコーチングスタッフの数が増加傾向にあり、必然的に指導の分業制が確立されている。
スペインのバルセロナではFCバルセロナ、エスパニョールに次ぐ第三勢力のUEコルネジャという街クラブのフベニール(ユース)Bで第二監督を務めていた坪井氏によると「監督の仕事はサッカーを教えるというよりも、どちらかというとマネージャー的なものとなり、マネージャーとして組織をまとめる要素が強くなってきています」とのこと。
その視点で言うと、昨季レアル・マドリーを率いてラ・リーガとUEFAチャンピオンズリーグの二冠、史上初となるCL連覇を果たしたジネディーヌ・ジダン監督のマネージメント能力がわかりやすい。ジダン監督について坪井氏は次のように述べた。
「15/16シーズンの途中でラファエル・ベニテスに代わって昇格した時には、私も最初『どのくらいできるのかな?』と疑問視していました。ただ、やはり彼はクリスティアーノ・ロナウドを筆頭に、世界のトップレベルのスーパースターを扱うだけのカリスマ性があり、彼らを見事手なづけました。戦術的機能については、(レアル・マドリーには)いい選手が揃っていますので、第二監督を筆頭に上手くチームを組み立て、全体のイメージを作っていたという印象です」