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Jリーグ 7年前

城後寿が愛される理由。3度のJ2降格もアビスパ一筋13年…背番号10に流れる青き血

text by 舩木渉 photo by Getty Images, Wataru Funaki

雷鳴轟く中で…城後が決めた伝説のゴール

城後
親子3人で「10番」のシャツを着て城後寿を応援するアビスパサポーターもいる【写真:舩木渉】

 他のファンに話を聞いても、必ずと言っていいほど「象徴」「シンボル」といった表現で城後を語る。チームの立ち上げ時からファンだという女性は「アビスパ=城後。レジェンドです。篠田もレジェンドだけど、レベルが違う。もう青い血が流れていますよ」と語る。

「篠田」とは、現在FC東京の監督を務める篠田善之のこと。まだアビスパが福岡ブルックスとして旧JFLを戦っていた1995年から2004年の現役引退までプレーし、2008年7月から2011年8月までアビスパの監督も務めたクラブの功労者を、現役選手にしてすでに超えているという。

 城後は世代を超えてファンを魅了する。小学生の頃から15年近くアビスパを応援し続けている20代のファンの口からは「苦しい時にたくさんの主力選手が出ていったんですけど、城後だけは残ってくれて、チーム愛を感じます。城後はアビスパそのものじゃないですか? 本当にチームの象徴で、いなくなった時のことは考えたくないですね。チームがなくなるのと同じくらい、そんな選手だと思います」と背番号10への愛がよどみなくあふれ出た。

 20人近いファンに話を聞いていくと、「大事な試合でゴールを決めてくれたり、印象的な試合のゴールがたくさんある」という言葉が頻繁に聞かれた。そして最も印象に残っているエピソードを尋ねると、その大半から返ってきたのが2010年9月12日に行われたJ2第25節、大雨が降り、雷が鳴る中で行われたジェフユナイテッド千葉戦でのゴールだった。

 試合終盤の88分、自陣でボールを奪った中町公祐(現横浜F・マリノス)がカウンターを仕掛けると、右サイドを駆け上がった城後に絶妙なスルーパスを通す。ペナルティエリア角でボールを受けた背番号10は、左足に持ち替えてミドルシュート。カーブのかかったボールはきれいな弧を描いてゴールネットに吸い込まれた。城後は一目散にファンの元へと駆け寄る。まるでスタジアムが爆発したような大きなエネルギーが生まれた。

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