ドルトとの一戦を経て。いま追い求める3つの目標
Jリーグチャンピオンシップ決勝で、鹿島アントラーズにまさかの逆転負けを喫した昨年12月。予定外のオフに入った関根は、いまも敬愛するFW原口元気(ヘルタ・ベルリン)を訪ねてドイツへわたった。
1週間ほどの滞在で、ブンデスリーガを3試合観戦した。そのなかで、ブンデスリーガ初昇格にもかかわらず、快進撃を演じていたRBライプツィヒがヘルタ・ベルリンを退けた一戦に大きな衝撃を受けた。
スコアこそ2‐0だったが、関根をして「ヘルタがボロボロにされた」と言わしめた90分間。ピッチでは自分と同世代か、あるいは年下の選手たちが怒涛のプレスから電光石火の速攻を繰り出し続けていた。
「それでも、自分が(ドイツに)行けない、とは思わなかったですね。逆にやってみたいと、より強く思うようになった。どれだけやれるかというのは、実際にやってみないとわからないじゃないですか」
ドイツの地で新たな刺激とエネルギーをもらい、迎えた新シーズン。2月25日の開幕戦で2‐3と逆転負けを食らった横浜F・マリノスのなかで、2アシストを決められたMF齋藤学を気にするようになった。
ハリルジャパン入りを争っていくなかで、ドリブラーとしてタイプが似ている点が理由ではない。オフに海外移籍を模索しながら断念し、マリノスと再契約した齋藤の軌跡を気にせずにはいられなかった。
「齋藤選手でも海外に行くことができなかったじゃないですか。なので、齋藤選手以上のプレーをしなきゃいけないんだな、と思いながらいつも見ています」
海外挑戦への夢を抑え切れないからこそ、まずは齋藤を超える。国内ナンバーワンのドリブラーとなった先に、新たな舞台が開けると信じている。だからといって、目の前の戦いを軽視することもありえない。
連敗を3で止めた今月1日のサンフレッチェ広島戦。同点のまま突入した後半アディショナルタイムで、左ワイドから6人抜きのドリブルを仕掛け、奇跡の決勝ゴールを決めた瞬間に全身を駆け巡った思いを関根はいまも忘れていない。
「プレーひとつで見ている人々の心を動かせるんだ、というのを肌で感じられたので。ああいうプレーを毎試合出せるように、これからも頑張っていきたい」
海外への挑戦。国内ナンバーワンのドリブラー。そして、何よりもレッズの不振からの脱却。3つの目標を貪欲に追い求める167センチ、61キロの小さなサムライにとって、強豪ドルトムントに冷や汗をかかせた2017年7月15日の夜は、夢を加速させるマイルストーンになるはずだ。
(取材・文:藤江直人)
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