厳しいコンディションのなかでドルトがみせた“らしさ”
レッズのコーナーキックになるはずが、木村博之主審の判定はゴールキック。相手ゴール前で思わず両手を広げ、苦笑いを浮かべながらポジションに戻る関根の脳裏にはさまざまな思いが交錯していた。
「シュートを打つまで落ち着いていたんですけど、あそこで決め切れなかったのは自分の課題です。ただ、ドルトムントはボールを奪われた後の切り替えが、とにかく全員が速かった。チームとしてのコンセプトがしっかりしているんだな、というのは戦っていて何度も感じました。
自分も開幕前のキャンプのときの辛さはわかっている。シーズンに備えた準備期間ということで、ドルトムントの選手たちもコンディション的にとんでもなくきついものがあったはずだし、こんなものじゃないと思う。それでも昨日来日して今日試合というのは、本当にすごいことだと思う」
時差ぼけ。オフ明けのコンディション不良。そして、日本の夏独特の蒸し暑さ。実際、キックオフ時の条件が気温30.2度、湿度65%に達したなかで、それでもドルトムントは随所に“らしさ”をのぞかせた。
日本代表戦で追った左脱臼の影響で、ベンチウォーマーを余儀なくされたMF香川真司は「前半は上手くゲーゲンプレスもはまっていた」と振り返る。実際、前半のレッズは終始、押し込まれ続けた。
相手ボール時に「3‐4‐2‐1」から変わる「5‐4‐1」で、引いて守る時間が長くなった。いざ、マイボールになってもワントップの興梠になかなかボールが入らず、攻撃時の「4‐1‐5」に移る場面が訪れない。
それでもワンチャンスから先制点を奪い、後半30分すぎまでリードを保った。最後は個の力に屈したが、リーグ戦で陥った不振から抜け出すための処方箋を得たと、試合後の関根は強調せずにはいられなかった。
「特に前半は耐え忍んだというか、いままでにないくらいコンパクトな守備ができて、一人ひとりもハードワークすることができた。我慢強くプレーできたからこそ前半を無失点に抑えられたと思うので、そういった守備をリーグ戦でも出していければ。攻撃はドルトムント相手でも通用する部分を出せたので」