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Jリーグ 7年前

浦和・関根貴大、海外挑戦という夢。ドルト戦でより鮮明に。いま追い求める3つの標的

text by 藤江直人 photo by Getty Images

「Jリーグではなかなか経験できない」

 後半開始と同時に宇賀神に代わってMF駒井善成が投入されたことに伴い、関根は左ワイドに回った。視界が異なると、自らに課すプレースタイルも変わってくる。関根は若干ながらポジションを下げる。

「左のほうがポゼッションに参加するというか。引いて受けてゲームを作るとか、相手の間で受けるといったプレーのほうが多くなるのかな。あとは右足から狙えるシュートや、中へのカットインは右よりもやりやすくなるのでそこは意識しつつ、もちろん縦にも仕掛けることも考えていますけど」

 ドルトムントも後半から選手を入れ替え、フォーメーションも前半の「4‐3‐3」から「3‐4‐2‐1」に変更した。レッズとまったく同じ形となったことで、関根の胸中には期するものがあった。

「よりはっきりとマッチアップするので。出場する時間があらかじめ決められていたなかで、さらに仕掛けていこうと。上手く裏へ抜け出せたところまでは、よかったのかなと」

 槙野が長いバックパスを守護神・西川周作へ渡し、試合全体がわずかながら弛緩した雰囲気に支配された13分だった。左で求められる2つ目の仕事、カットインからのシュートを関根が体現する。

 対面の右ワイドに回ってきた、ポーランド代表のウカシュ・ピシュチェクの隙を突き、左タッチライン際から右斜め前方へダッシュ。オフサイドぎりぎりのタイミングで、西川からのロングフィードが通る。

 胸トラップでボールを大きく前へ運び、さらに加速していく。ボールを整えながら、一気にペナルティーエリア内へ侵入していった過程で、関根は2度にわたって後方を振り向いている。

「(西川)周作君も僕のことを見ていてくれたし、狙っていこうとずっと思っていました。それでも、フリーの状態だったのに、後ろから追われているプレッシャーを肌で感じることができた。ゴールキーパーのレベルの高さを含めて、Jリーグではなかなか経験できないこと。これらを今後に生かしていきたい」

 若造にゴールさせてなるものか、という32歳のピシュチェクの殺気を背中越しに感じたからこそ、2度も後方を振り向かされた。それでも追いつかれる直前に、体勢を崩しながら右足を振り抜いた。

 ドルトムントのゴールマウスを守る36歳の守護神、ドイツ代表のロマン・ヴァイデンフェラーは慌てることなくスルスルと前に出て、190センチ、87キロの巨体を大きく見せて関根のシュートコースを狭める。

 関根が狙ったのはゴール左隅。放たれたシュートはヴァイデンフェラーがとっさに伸ばした右足のすねにほんのわずかながら触れて、コースを微妙に変えた末にゴールネットを外側から揺らした。

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