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Jリーグ 7年前

浦和・関根貴大、海外挑戦という夢。ドルト戦でより鮮明に。いま追い求める3つの標的

text by 藤江直人 photo by Getty Images

ドイツ代表クラスの選手とのマッチアップ

関根と対峙したドルトムントの左サイドバック、マルセル・シュメルツァー
関根と対峙したドルトムントの左サイドバック、マルセル・シュメルツァー【写真:Getty Images】

 ドルトムント戦は右ワイドで先発した。迎えた前半22分。DF森脇良太が左ワイドの宇賀神友弥へ、ピッチの幅を目いっぱい使ったサイドチェンジのパスを通して相手を左にスライドさせる。

 MF武藤雄樹と細かくパスを交換した宇賀神から、ボールを受けたDF槙野智章がすかさず右へ再びサイドチェンジを試みる。ターゲットは右タッチラインぎりぎりにポジションを取っていた関根だった。

 左サイドバックのマルセル・シュメルツァーが、慌てて間合いを詰めてくる。ドイツ代表として16試合に出場している、29歳のキャプテンとのマッチアップ。関根は心を躍らせていた。

「自分がガンガン仕掛けていけば何か課題も見つかるという思いで、今日はプレーしました。(シュメルツァーは)すごく落ち着いていたし、プレーのスピードもある選手なので」

 ペナルティーエリアのすぐ右側で展開された駆け引き。小さなフェイントを一度入れた関根は次の瞬間、迷うことなく縦へ抜けだす。ゴールラインぎりぎりの場所から、グラウンダーのクロスを入れた。

 必死に追走してきたシュメルツァーの右足にわずかに触れ、勢いをやや殺されたクロスに、ニアサイドに詰めていた武藤が右足をヒットさせる。シュートは無情にも、右ポストに弾かれてしまった。

 ゴールこそならなかったが、決定機を作られた残像がシュメルツァーの脳裏に刻まれる。こうなると、駆け引きで関根が優位に立つ。わずか十数秒後。DF遠藤航が再び関根に縦パスを通した。

 パスを受けた場所はほぼ同じ。再び対峙するシュメルツァーは縦を切り、クリスティアン・プリシッチ、ヌリ・シャヒンの両MFもフォローしてくる。数的優位を作られてもしかし、関根は慌てなかった。

 武藤にパスを預け、シュメルツァーの隙を突いて一気に縦へ抜けだす。武藤からのリターンを受けた関根のスピードの前に、シュメルツァーもシャヒンも置き去りにされてしまった。

 FW興梠慎三を狙った関根のクロスは、DFマルク・バルトラにクリアされた。しかし、このプレーで右コーナーキックを獲得。MF柏木陽介のゴールに巻いてくるボールに、興梠が右足を合わせて先制した。

 マークが誰もいない状況で興梠に合わせられなかったクロスの精度の低さに、関根は思わず天を仰いだ。それでも、キャリアも体格も上回る相手との1対1や駆け引きを制した快感は残る。

「縦に抜けるスピードでマークを外す動きとか、味方を使った動きが上手くいくシーンもありましたし、自分がアシストできるシーンを出せたことは自信につながるのかなと。(ドルトムントに)通用していた部分だし、そこはJリーグでも自信をもって、自分の強みにしてやっていければと思います」

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