「予定ではもう海外に行くつもりでいたので」
海外の舞台へ挑戦する夢を、浦和レッズのMF関根貴大は隠そうとしない。たとえば、リーグ戦における今シーズン初ゴールを決めた、4月22日の北海道コンサドーレ札幌戦後にこんな言葉を残している。
「予定ではもう海外に行くつもりでいたので。なので、ちょっと遅れ気味ですね」
おりしも、コンサドーレ戦の3日前に22歳になったばかりだった。浦和レッズユースから昇格して4年目。大学に進学していれば4年生になる2017シーズンを、節目として強く意識していたのだろう。
来シーズンになれば、大学へ進んだ同世代の選手がJリーグ入りしてくる。彼らとの差を鮮明にするうえでも、プロの世界で積み重ねてきたものを次なるステージへぶつけたいと考えても不思議ではない。
「ひとつの区切りとして、大学4年になる年じゃないですか。そういうこともあって、海外でやってみたいというのはありますね。自分がこれまでやってきたことが、どれだけ通じるかもわかると思うので」
今夏の移籍マーケットではしかし、夢はかないそうにない。それでも、世界のレベルを肌で感じ取れる機会を得られた。現時点における収穫や課題を、さらなる成長への糧にできる喜びも味わえた。
ブンデスリーガの強豪ボルシア・ドルトムントを埼玉スタジアムに迎えた、15日のJリーグワールドチャレンジ2017。後半19分まで64分間プレーした試合後の取材エリアで、関根にこんな質問が飛んだ。
「こういう相手と、日常的に対戦したいと思いますか」
日常的とは、要は海外へ移籍したいと思っているのかということ。答えは決まっていた。大勢のメディアを前にした関根は胸を張り、よどみのない口調でごく近い未来の夢を語っている。
「自分が海外にいけば、それ(日常的に対戦)はできること。海外移籍は自分のなかで目標にしていることなので、今日対戦してみて、あらためてそういう舞台に立ちたいと思いました」
今シーズンの関根は、「二刀流」となるプレースタイルをより鮮明に使い分けている。右ワイドで起用されたときは、右タッチライン際を縦へ抜ける意識をより強くもつようにしている。
「相手の裏を取る動きというか、ドリブルで縦に仕掛けられるプレーを主に心がけています。基本的には右のほうが、より高い位置を取れるので」