名門アヤックス復権。ボスがEL決勝へと導く
アヤックスを取り囲む風向きが、1月19日の対ズウォレ戦(3-1で勝利)でジュスティン・クライファートがデビューしてサポーターを虜にした頃から好転した。
ビルドアップに手数をかけず、一気に相手のペナルティエリア内にボールを運んでシュートでゴールを脅かし、ボールを失ったらすぐに4人が相手を包囲して回収、すかさずショートカウンターを仕掛けて、ハーフコートフットボールを試みる——。
ペーター・ボス監督が志向していたサッカーがピッチの上で形となり、アヤックスは首位フェイエノールトの猛追を開始した。
ヨーロッパリーグ(EL)の舞台ではアヤックスサポーターのみならず、オランダ中が「トータルフットボール」の再来に夢を見た。その機運が高まり始めたのは3月16日、ベスト16の対コペンハーゲン戦2ndレグ(2-0で勝利)から。
クライファートと同じく、まだ17歳のマタイス・デ・リフトがCBとして相手の巨漢2トップを完封した上、アヤックスのDFらしく巧みなドリブルインから中盤で数的優位を作るなど、ハツラツとしたプレーで“将来のスター誕生”を予感させた。
以降、アヤックスは準々決勝の対シャルケ戦(1stレグ、2-0で勝利)、準決勝の対リヨン戦(1stレグ、3-1で勝利)と、文字通りヨハン・クライフ・アレーナがサポーターの熱狂で大揺れするスペクタクルな試合を披露し続け、ヨーロッパの舞台における名門の復権を印象づけたのだ。