記録を作り続けた1年。モチベーションは常に最高
ーーまだファンが求めるところまで到達していないでしょうか。
倉敷 かなり近いものを体現しているとは思いますけど、まだまだですね。例えばマドリーのサッカーではサイドバックが上がらなければ許されない中で、左のマルセロが今恐らくキャリアの中で一番いい時期を過ごしていて、右にはマドリーのカンテラ出身のダニ・カルバハルが出てきました。こういったことを突き詰めていくと、マドリーのサポーターたちは「これがマドリーのサッカーなんだ」と思えるんじゃないかな。今は7番のタイプが違って物足りないのかなと、僕は思いますけどね。ラウールのイメージがすごく強いと思うので、今の7番は素晴らしいけども違う、だからブーイングされる。あれだけやっていてもブーイングされる。あれだけやっているのにどうしてブーイングされなければいけないのか、じゃあどうすればいいの…と。つまりマドリーのサポーターもそれだけ思いが強いんでしょうね。
ーー昨季のマドリーにとってターニングポイントとなった試合はありましたか?
玉乃 ターニングポイント…あったかな。開幕から常に強かった印象ですね。負けたのはクラブW杯から帰ってきた後くらいですかね(編注:マドリーは年明けの1月12日に行われたコパ・デル・レイのセビージャ戦から、続くリーグ戦のセビージャ戦、コパ・デル・レイのセルタ戦と3試合勝ちがなく、公式戦無敗記録も40試合で途切れた)。
倉敷 でしょうね。あの時期は確実に落ちてましたね。クラブW杯前から落ちていたので、問題があるとしたらそこでしょうね。
玉乃 鹿島アントラーズとの決勝戦も結局延長までやって体力使っちゃいましたもんね。
倉敷 それでもマドリーには取りこぼしがなかったところが大きいんじゃないですか。バルサは9位以下のチームにあれだけ負けたらもうダメだと思うし、アトレティコも11月頃の負けが結局尾を引いてしまった。マドリーはそういう意味ではコンスタントに勝ち続けていた。負けなかった、記録を作っていったところが一番大きいですよね。負けない記録を作った、それから必ず点を取るという記録を続けていたことが大きかったんじゃないですか(編注:現在公式戦65試合連続得点中)。
だからそういう状況のチームに勝てるリーガの5つのチーム(セビージャ、バレンシア、セルタ、アトレティコ、バルセロナ)は本当にすごいと思う。僕はCL決勝でユベントスが勝つと心の底から思っていたんですよ。今回はユベントスだろうって。
玉乃 マドリーの強さをあれだけ知っていて。
倉敷 マドリーの強さ、知っていましたよ。けれども僕が考えていたのは戦力とかそういうことではなくて、ジダンのユベントスに対する相性は悪いということ。フットボールの世界では時々あるじゃないですか。さらにブッフォンは幸せなキャリアで終わるのか、それとも勝てない選手のままキャリアを終えるのかに興味があったんです。僕はブッフォンに対してシンパシーを感じているので、ブッフォンが勝ったら嬉しいな、という気持ちでユベントスが勝つと予想していたんです。まあ、あんなに差がつくとは思いませんでしたよね。もう強い、本当に強い。こんなに強いチームはしばらくないと思います。さすがのドゥオデシマ(12度目のCL制覇の意味)、12回目はすごい。