冴え渡ったジダン采配。強すぎたレアル・マドリー
ーー今回は昨季のレアル・マドリーについてお聞きしたいと思います。久々のリーグ優勝に加え、CL2連覇もあった素晴らしいシーズンになりました。
倉敷 レアル・マドリーはCLこそ獲っていましたけど、国内リーグの優勝は5シーズンなかったわけじゃないですか。そうなると15,6人が国内リーグを獲ったことのない選手で構成されていたと思います。そういった選手をうまく喉を乾かせながら走らせた。そして不満分子を作ることもなく、上手にスター選手も泳がせることができたという点でジダン監督の手腕は素晴らしかったですね。
玉乃 異口同音です。まさにそのとおりで、ジダン采配に尽きると思います。クリスティアーノ・ロナウドをはじめとしたスター選手は泳がせておいて、開幕当初から中盤は誰が出てもいいように育てていきました。何か「持っている」とか、現役の時はすごかったとか置いておいて、1シーズンの試合数を考えた時にジダンはこれだけ勇気をもってチームを作ることができるんだ、と驚きでしたね。
倉敷 特に最後の1ヶ月はものすごいハードスケジュールで、週に2試合は当たり前、下手すれば3試合ある中で、リーグを制覇し、そして(ジャンルイジ・)ブッフォンのいるユベントス相手にあれだけの試合をやって見せるなんて…ケチつけるところはないですね。
ーー現役選手としてやられていた玉乃さんから見て、4月に9試合を戦ったことは想像できますか?
玉乃 いや、できないですね。
倉敷 玉乃さん特に体力ないから(笑)
玉乃 5分×9試合でも無理です。まあ考えられないですよね。もちろん勝ち進むにつれて日程が厳しくなることもわかっていたと思います。ジダン監督はそれでもシーズン頭からブレずにやりましたよね。新たに獲得した選手、レンタルから戻ってきた選手を信用していたというか、育てていましたから。
倉敷 日程で言うと、マドリーは前回クラブW杯があった年に失敗しているわけですよね。最後にバルサに逆転を食らいました。昨季はクラブW杯のために延期された1試合があり、なおかつ気象条件によりスタジアムの屋根が壊れて延期されたセルタ戦がとんでもないところ(リーガ最終節の4日前、前の試合からは中2日)に組まれてしまいました。セルタもヨーロッパリーグで勝ち残っていたために、延期分が5月までずれ込むことはどこまで計算できていたのか…正直わからないと思うんですよね。
そしてローテーションもうまかったですよね。クリスティアーノ・ロナウドをアウェイゲームとはいえ遠征に連れていかない決断はなかなかできない。二重に難しいと思います。ひとつは戦力的なこと、もうひとつは彼のプライド。そう考えると、どういう形で説得したのか興味がありますね。バルサにはクライフの時代から受け継がれてきた伝統があり、アトレティコ・マドリーもディエゴ・シメオネ監督が「チョリスモ」(編注:『シメオネ主義』という意味の造語)に代表されるように、クラブの考え方をチームに落とし込んでいる最中です。
そこでジネディーヌ・ジダンはこれから「マドリディスモ」とマドリディスタが考えているものにどこまで近づいていくのか、興味が出てきました。次のシーズンこそジダンの真価が問われるのではないかなと、僕は思いますね。