危険水域だが、まだ全てを失ったわけではない
先週末のマリノス戦もまた同じだった。広島はチャンスを活かすことができず、残りわずか9分となったところで先制を許してしまう。だがそこからしっかり追いつくことはできた。90分にアンデルソン・ロペスが決めた同点ゴールで勝ち点1をもぎ取ったという事実は、今後の復調に向けた悪くない第一歩になると水本裕貴は感じている。
「今シーズンのここまでのことを考えれば、0-1から勝ち点1を獲得するのは難しそうに思えましたが、誰一人諦めてはいませんでした」と水本は日産スタジアムでの試合後に語った。
「追いつくことができて、さらにアウェイでも2点目を狙っていました。それでも全体的なパフォーマンスを考えれば、勝ち点3が取れなかったのは残念だと思います」
「シーズン後半戦は本当に厳しい戦いになると思います。今日はたくさんシュートを打てましたが、枠に入れられるようにする必要がありますし、守備ももっと締める必要があります」
森崎も指摘していたように、先に失点してからでなければゴールが奪えないことが今季のある種の問題点となっていることは確かだ。リーグ戦で広島が先制した例は今季わずか4試合しかない。そのまま勝ち点3を獲得できたのはガンバとの1試合だけだ。
それでも、マリノスと1-1で引き分けたのは連敗を4でストップする結果であり、中断前に一息入れることができたのは確かだ。新加入の丹羽大輝とパトリックもチームの士気を高め、さらなる後押しを加えてくれそうだ。
ヤン・ヨンソン新監督がすぐにチームに自信を植え付けることができるようなら、広島はまだ全てを失ったわけではない。だが現時点では危険水域にまで自信が低下しており、一刻も早く取り戻すことが必要だ。
(取材・文:ショーン・キャロル)
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