EURO2016で優勝したポルトガルはアンチフットボール?
2017年6月17日から7月2日までロシアで開催されたコンフェデレーションズカップを見ながら、ひそかに懸念していたことがある。
世界的大会で近年繰り返されるアンチフットボールをまた見せられるのではないか。2016年フランスで開催されたEURO欧州選手権で優勝したポルトガルは、準々決勝までの5試合すべて引き分け、決勝も109分にようやく1点とって優勝した。どの試合も正直、見ていておもしろくはなかった。
確かに勝負ごとだし、勝ったチームが強いのだし、「結果がすべて」ではあるけれど、プロのサッカーは観ている人を楽しませるべきではないか。だが、優勝したとはいえ、ポルトガル代表の試合にカタルシスを感じることがなかった。あれこそまさにアンチフットボールだと私は思った。
ところが、ワールドカップのプレ大会という位置づけのためか、それとも起用された若手がのびのびとプレーしたためか、コンフェデレーションズカップはどの試合もおもしろかった。
準決勝のポルトガル対チリ戦は、スコアレスドローにもかかわらず最後まで興奮させられたし、PK戦ではGKブラボのすばらしさに絶叫したほどだ。なんだ、ポルトガル。アンチフットボールじゃなくても結構やれるじゃないか、とちょっと見直した。敗退したけれど。
極度に守備的で退屈なサッカーを、つい私は「勝てばいいとサッカーのおもしろさを殺すアンチフットボール!」と批判してしまうのだが、そもそもアンチフットボールとはどういう意味なのだろう?
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