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ルーニー、エバートン復帰というロマン。マンUから「心のクラブ」へ。13年ぶり帰郷への歓迎

text by 山中忍 photo by Getty Images

ロマンを感じさせる「エバートンのルーニー」

かつてエバートンでプレーしていたルーニー
かつてエバートンでプレーしていたルーニー【写真:Getty Images】

 やはり10番を背負うエバートンでも、先発レギュラーとしてのルーニーを想像することは難しい。ロナルド・クーマン監督が、就任1年目に試した1トップ、2トップ、3トップのいずれを採用するにしても、メインストライカーとして昨季リーグ戦25得点を上げたルカクの穴埋めは荷が重い。

 シュートの威力と精度に定評のあるルーニーだが、CFとしては5年前を最後に実績も実働も不足。新ターゲットマン候補として、オリビエ・ジルー(アーセナル)らの名前が挙がってもいる。

 サポート役にしても、アウトサイドもこなすサンドロ・ラミレスがマラガから加わり、トップ下には自家製の逸材ロス・バークリー。クラブは伸び悩みに痺れを切らせつつあるが、新プレーメイカーとしてギルフィ・シグルドソン(スウォンジー)の獲得も噂される。

「ナンバー10」は、6月にアヤックスから購入した新MFデイヴィ・クラーセンがこなせるポジションでもある。主力の世代交代も進めている指揮官には、昨季に1軍定着を果たしたトム・デービスや、今夏のU-20W杯でイングランド優勝に貢献したアデモア・ルックマンらを使って育てる意識もあるに違いない。

 そのクーマンは、必要以上に後方からの繋ぎやボール支配には拘らず、攻守のバランスを求める采配からも窺える現実的感覚を持つ指揮官だ。

 ルーニーの年齢を「まだ31歳」と表現する一方で「優勝経験」を強調しているコメントからしても、若手の多い集団を率いてトップ4争い参戦を狙うため、「万能な勝者」としてのルーニーの力を相手や戦況に応じて臨機応変に生かす心づもりなのかもしれない。

 生かす頻度は当人の頑張り次第だが、この点も今回の「帰郷」でベテランが株を上げた理由の1つだ。最後に異国での「もう一稼ぎ」を選ばなかったルーニーは、古巣での「もう一花」を望む以前に「もう1チャレンジ」を求めた。

 若き「イングランドの至宝」として夢を託されてから15年、母国民は再びロマンを感じさせる「エバートンのルーニー」の活躍を今一度、クラブ間の垣根を越えて願っている。

(文:山中忍【イングランド】)

【了】

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