大歓迎が予想されるいっぽうで…新戦力としての現実の厳しさ
契約翌日の『サン』紙スポーツ1面には、エバートンの寝巻きを着たルーニーの合成写真。国内随一の強豪へと去った後も「エバートンのパジャマを着て寝ていた」という告白に真実味があるのは、少年時代のヒーローとして、90年代に3年ほどエバートンでプレーしたアンデシュ・リンパルを挙げたことのあるルーニーならでは。
ルーニーならば、CL優勝を含む主要タイトル11冠のユナイテッドからの出戻りに際し、「エバートンでタイトルを獲れたらキャリアの頂点になる」とした発言も本心と思える。
ユナイテッド入り当初、裏切り者とみなしてブーイングを浴びせたエバートンのファンも、再び青いユニフォームを着るユース出身の「同志」を目にすれば、すぐに冷めた心が温まるだろう。
ホームにストークを迎える8月12日の来季プレミアリーグ開幕戦で受ける歓迎は、ダンカン・ファーガソン(現コーチ)の功労試合で1日だけエバートン復帰を果たし、メディアで「予想以上」と伝えられた2年前のレベルをはるかに凌ぐこと請け合いだ。
もっとも、国内の反応は新戦力としての現実の厳しさに関しても概ね一致している。ユナイテッドの歴代最高得点者が昨季7位に移籍となれば定位置が保証されていても良さそうなものだが、そのユナイテッドをルーニーは控え選手として後にした。
昨季の先発出場は全試合数の4割程度。ベンチが多かった10番は、8番や6番的な中盤へのコンバートが進むわけでもなく、前線で9.5番的に存在感を発揮したわけでもない。
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