「トルココネクション」という兆候
ちなみにラカゼットを手に入れたアーセナルは、モナコのトマ・ルマールも狙っている。
昨季のチャンピオン、モナコからは、すでにベルナルド・シルバが5000万ユーロという大金でマンチェスター・シティに引き抜かれた。そして、18歳の怪物キリアン・エムバペには多数のビッグクラブから熱い視線が注がれている。モナコの周辺はまだまだ活発に動きそうだ。
この夏のメルカートで、ひとつ気になる兆候は、『トルココネクション』だ。
ジェレミー・メネーズ(ボルドー→アンタルヤスポル)、バフェティンビ・ゴミス(スウォンジー[→マルセイユ]→ガラタサライ)、マテュー・ヴァルビュエナ(リヨン→フェネルバフチェ)と、現時点ですでに元フランス代表の30代前半プレーヤーが3人、トルコリーグに鞍替えしている。
トルコリーグのレベルが近年向上している上、30代のベテラン実力派選手に金銭面で魅力的なオファーを出せるというのが人気の秘密だという。しかもトルコはUEFAに属しているから欧州カップ戦出場のチャンスもある。彼らにとって悪くない選択肢というわけだ。
移籍情報を専門的に扱う、その名もズバリ『MERCATO』誌のグレゴリー・ギャビエ編集長によれば、この夏のリーグアンの移籍市場は例年以上に活発に動きそうな気配だという。
「これまでに比べて、各クラブともより補強に予算を割いている印象です。昨シーズンの欧州カップ戦での成功もリーグアンのステータスを底上げし、海外の選手を惹きつける原動力になっていますね」
昨季はモナコがチャンピオンズリーグ、リヨンがヨーロッパリーグでベスト4入りを果たした。ルイス・グスタボのマルセイユ入りなどもその好例だとギャビエ編集長は語る。
「PSGは依然として巨大な予算を用意しているでしょうが、彼らだけでなく、マッコート(元LAドジャースオーナー)がオーナーになったマルセイユ、ロペス(スペイン系ルクセンブルク人の実業家)が参入したリール、そしてロシアの富豪がバックにつくモナコなど、複数のクラブが強力な資金力で運営を強化していることで、リーグアンをとりまく市場全体にもポジティブな印象を与えています。フランスサッカー界にとっては好材料といえます」