「自分たちの強くない部分をチームとして隠す」(中村俊輔)
「いつもポジティブに『負けたけどいい試合だった』という雰囲気にはなってはいけない」
中村俊輔は警鐘を鳴らしたことが何度かある。気持ちが沈みすぎない点はこのチームのいいところだが、敗戦に向き合いながら改善点を見つけ出すことが今シーズンはできている。勝利から見放された時期を長引かせず、短期間で乗り切ったことがその証左ではないだろうか。
「守る時は行かないで全員で引く。失点も少ないし、『今は持たせてもいい』という意思統一はできてきている。自分たちの強くない部分を個々で隠すんじゃなくて、チームとして隠す」
10番は戦前、こんな話をしていた。甲府戦はボールを“持たれた”面もあったが、ブロックを作って対応することはできた。相手に上回られそうになっても、全員で立ち向かうことでピンチを撥ね退けていた。
7月29日の次節・川崎フロンターレ戦までリーグは中断する。その期間に磐田はミニキャンプを実施する予定だ。連勝街道を走ったまま、チームを鍛え直すことができる。
「ここから3週間、楽しく過ごせるので気分のいい5連勝じゃないかなと。ミッドウィークに天皇杯(湘南ベルマーレ戦)が残っているが、それはまた上のステージに残るために努力していきたいですし、真っ向勝負でリーグ戦の川崎戦に挑みたい」
すでに、名波監督の視線は“次”へ向けられていた。
1-0の勝利には、過去4試合とは異なる意味でのチームの成長が感じられた。勝利への執着心、試合に懸ける想いを体現できなければ、無失点で抑えることはできない。精神面だけでは片付けられないが、今の磐田が持つメンタリティはまさしく、勝者のそれだった。
(取材・文:青木務)
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