川辺駿が披露したクオリティ。絶妙パスで先制点を演出
先制すれば勝てる――。
選手たちはそんなに楽観的ではないだろうが、先にスコアを動かした試合の磐田はある意味、安心して見ていられる。先制したゲームは8戦全勝。1点の重要性を理解し、高い集中力で90分間挑み続けている。
甲府戦で“その時”が訪れたのは、前半立ち上がり14分だった。低い位置でボールを受けた中村俊輔が相手の股を通すと、川辺駿が振り向きざまにスルーパスを送る。これに走り込んだ川又のシュートがGKの股を通過し、ネットを揺らした。
「本当に久しぶりに中央を割られて崩された」とは敵将・吉田達磨監督の言葉だ。一連のシーンで甲府は2度、股を通されている。「2回『ヤバイ』が連続すれば中村俊輔、川辺、川又堅碁と今好調の3人ですから、パスも通されますし、割られてしまう。それは今ジュビロの好調の要因というか、一つの鋭さを見た」と悔しさを覗かせた。
ストライカーのゴールをアシストした川辺はここ最近、得点に直結するプレーが著しく増えている。「間でうまくポジショニングをとれば、ボールが入ってくると思っていた」という冷静さが光った。中村俊輔のパスを合図に川辺が攻撃を加速させたが、得点までの過程に背番号40は手応えを感じている。
「縦パスはスイッチだと思うし、自分のところにマークがついていて、ケンゴくんも一対一でつかれていたけど、コンビネーションであれば崩せるというのはよくあること。ケンゴくんの動き出しが良かったので、イチかバチかどっちに走るかなと思いながら出したけど、スピードで流れていくのが特徴だと思って。そういう部分でうまく合ったシーンだった」
川辺は「俊さんからパスが来たところで勝負はあったんじゃないかなと思う」とも話したが、21歳のMFが持ち前のクオリティを発揮したのも事実だった。