確実に遂げてきた成長。勢いだけではない勝ち方
2014年9月、名波監督は古巣・磐田で指揮を執るようになった。今日に至るまで、苦い経験もたくさんあっただろう。初年度はプレーオフ敗退で昇格を逃がし、J1に戻ってきた昨シーズンも目標の勝ち点40に届かず、満足のできる結果ではなかった。
ただ、自身もチームも確実に成長を遂げていたのはこの5連勝を見れば一目瞭然だ。そして大袈裟に言えば、今回の甲府戦勝利は名波ジュビロにとって大きなポイントになるのではないだろうか。磐田のレジェンドは喜びと感慨が混じった様子で語っている。
「こういうゲーム運びを、我々もやっとできるようになったんだなと。去年や一昨年のJ2の時だったら間違いなくやられていて同点、もしくは逆転されていたと思うが、1-0の美学というか、守ろうという意思がピッチ全体に広がっていた」
4連勝中といい流れにあったのは間違いない。だが、勢いだけでこの勝ち方はできない。全員の意識の共有、一人ひとりのファイト、指揮官の采配と様々な要素ががっちりと噛み合ったからこそのウノゼロだった。
「J2時代にもできなかった5連勝をJ1で、しかもいい対戦相手にできたことは選手たちの努力、積み上げ、野心や野望に尽きると思う。思い切ったことを選手たちがダイナミックにできたり、緻密に規律を守ったりというそのバランスが絶妙な時期だと思う。今、さらに上塗りしてもすぐにスポンジのように吸収してくれるんじゃないか」
指揮官は、公の場で自身の功績をひけらかすような真似は決してしない。常に選手第一。そうした姿勢はこの日も、会見場で色濃く感じられた。