好調の川崎、戻ってきた「良い距離感」
AFCチャンピオンズリーグ(ACL)の影響で延期されていた第13節の川崎と浦和の一戦。水曜日の平日開催だったが、浦和戦ということもあり、等々力陸上競技場には22,561人の観客が集まった。試合前に降った雨の影響で気温は27.6℃、湿度80%と、ピッチ上はかなりムシムシしていた。連戦が続く中、見た目以上に過酷な環境となった。
なかなか調子の上がらない浦和。前節広島には打ち合いを制したものの、苦しい試合内容が続いており、川崎対策として3バックから4バックに変更して挑んだ。しかし、逆にプレーエリアが曖昧になってしまい、いいように川崎に主導権を握られてしまった。
川崎は連勝こそ少ないが、ACLを勝ち上がるごとに調子を上げてきて、ようやく昨年までのパスサッカー、選手の距離感が戻ってきた。特に今季加入した阿部浩之がフィットしてきたことが大きい。
G大阪のプレーエリアとは異なり、サイドのスタートポジションから、前線を自由に動き回り、それにクロスするようにして、小林悠とのコンビネーションも出来上がっている。この日の先制点も二人のコンビネーションから生まれた。
浦和がボールを持ったときは、中村憲剛と阿部の2トップとなり、パスコースを限定する。追うのではなく、コースを切る。これが絶妙なポジショニングだ。これにより出たパスに対して、後ろが連動してボールを奪う。攻撃になると憲剛、阿部、小林がシンプルに攻め込む。
1点目もその形から。センターバックの曖昧なプレーエリア(遠藤航と槙野智章の真ん中)に小林が侵入して、阿部からの絶妙なタイミングのパスにワンタッチで抜け出し、ゴール。
2点目も大島僚太からパスを受けた憲剛が、右の小林に体を向けながら、中央へ走り込んだ阿部にスルーパス。浦和守備陣の準備が整う前に憲剛が体をひねり、DFを翻ろうした。
中村憲剛が、右の小林悠を見ながら、体をひねって縦の阿部浩之にスルーパス【写真:松岡健三郎】
2点目のゴール後、浦和のベンチ前で水分補給をする中村憲剛が、ペトロビッチ監督にボトルを手渡され会釈する【写真:松岡健三郎】
前半16分、29分といい時間帯に得点を重ね、あとは浦和の出足をいなしていくだけ。ジメジメしたピッチで疲労度が高い上、川崎がいい距離感を保っていることから、浦和は飛び込めばかわされることもあり、ブロックを作ることが精一杯となってしまった。