「本当に欠かせない選手ですね」
後半途中からは左右のサイドハーフに回り、守備面でチームを助けるパターンが多くなった。フロンターレで覚醒させた新境地と、ガンバで身に着けた泥臭さに、鬼木達監督も全幅の信頼を寄せる。
「サイドを任せれば攻守において戦術理解が高いですし、もちろん前へ行けば前での戦術理解も高いし、動けて点が取れる。どこをやらせてもできるので、いまは本当に欠かせない選手ですね」
かつてガンバの長谷川監督が「外せない」と評したように、新天地フロンターレの鬼木監督も「欠かせない」と称賛する。8ゴールは小林と並び、J1の得点ランキングで2位につけている。
「トップの興梠(慎三)さんがかなりずば抜けているので。悠君(小林)と切磋琢磨しながら、勝ちにつながるゴールを決めていきたい。僕が取るよりもチームの勝ちが大事なので、横に出したほうが入るなら迷わず横に出す。貪欲に狙わなくても、試合中に必ずシュートチャンスはあるので。そんなに自分が、自分がとならずに、チャンスが来たときに打てれば」
阿部のアシストで小林が決めた先制点を含めた前半の2ゴールで優位に立ったレッズ戦は、最終的には4得点を奪って快勝。ACLの準々決勝で対峙する相手に、試合後の阿部も「嫌なイメージを与えられた」と笑った。
5月以降を6勝1分け1敗と右肩上がりの軌跡を描いてきたフロンターレは、首位・鹿島アントラーズと勝ち点4差の5位で前半戦を折り返した。輝きを放つチームの中心に、覚醒を果しつつある阿部がいる。
(取材・文:藤江直人)
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