“生き物”であるチーム。監督交代というショック療法
シーズン途中で指揮官が交代するのは、トニーニョ・セレーゾ元監督が解任された2015年7月以来のこと。相手のミスも手伝い、移籍後初ゴールを決めた永木はチーム内の空気が変わったと言う。
「石井さんを代えてしまったのは、僕たち選手たちの責任でもある。だからこそ、代わった(大岩)剛さんのもとでチームを勝たせたいという気持ちが、選手それぞれにあると思うので。そういう思いがいま、プレーになって表れているんじゃないかと」
2年前も石井前監督のもとでチームは復調。ヤマザキナビスコカップ(現YBCルヴァンカップ)を制し、3年ぶりとなるタイトル獲得で昨シーズンのJ1年間王者獲得と天皇杯制覇につなげた。
指揮官更迭というショック療法を契機とする変化を見れば、あらためてチームは“生き物”であることがわかる。今回も自主性を重んじた前任者から、兄貴分的な大岩監督への交代が奏功したと言っていい。
昌子はアントラーズから唯一、ハリルジャパンに招集されたことを意気に感じるとともに、一抹の心残りも感じていた。国際Aマッチ開催でJ1が中断される期間は、新監督の戦術を浸透させられるからだ。
ディフェンスリーダーの心中を察したのか。大岩監督はシリア戦を翌日に控えた味の素スタジアムに姿を見せ、昌子に「こっちの心配はせずに、代表に集中してこい」と檄を飛ばしている。
シリア戦、そして中立地テヘランで行われたイラク戦にともに先発フル出場した昌子は、大岩監督からかけられた言葉に心を奮い立たされたと明かしている。
「ちょっとの間は鹿島のことを忘れるというか。剛さんの言葉を信じて、鹿島のことは置いて、しっかりと代表でプレーしたいという気持ちになりました」
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