1点ビハインドのハーフタイム。泰然自若としていた大岩監督
憎たらしいほどの強さが脈打っていた。敵地を支配する大声援にも動じない。先制を許しても浮き足立たない。そして、最後には笑う。常勝軍団・鹿島アントラーズが完全復活の雄叫びをあげた。
満員で埋まった日立柏サッカー場で、首位に立つ柏レイソルと対峙した2日のJ1第17節。前半24分にゴールネットを揺らされ、1点のビハインドで迎えたハーフタイム。大岩剛監督は泰然自若としていた。
「失点の場面以外は素晴らしい内容だ。後半も攻守に連動した動きを続けよう」
果たして、リーグ戦では6試合ぶりに先発したFW金崎夢生が、後半8分に目の覚めるようなミドルシュートを一閃。余韻が残る同11分には、MF永木亮太の直接FKがそのままゴールに吸い込まれる。
左タッチライン際からファーサイドを狙ったキックは一陣の風に乗って伸び、さらにカーブの軌道を描きながら急降下。日本代表GK中村航輔の判断ミスを誘い、飛び出した頭上を越えていった。
神懸かり的なスーパーセーブを連発し、8連勝を含めた10戦連続無敗を支えてきた22歳の若き守護神が犯したまさかのミスが、怒涛のように押し寄せるアントラーズのプレッシャーを物語っていた。
好調を維持するレイソルも、6分後にFWクリスティアーノの一撃で同点に追いつく。ますます白熱する死闘を制したのはアントラーズ。27分にFWペドロ・ジュニオールが決めた勝ち越し弾を守り切った。
GKクォン・スンテの負傷退場などで、後半アディショナルタイムは6分間が表示された。それでも再度リードを奪われてからは決定機を作れなかった展開に、レイソルの下平隆宏監督は脱帽するしかなかった。
「鹿島アントラーズというクラブの底力を感じたというか。自分たちのペースになりかけたときにファウルをもらうとか、また流れをもっていかれるようなプレーがちょこちょこ出てくる。上手く時間を使われたなかで、なかなか乗っていけない、追いつくパワーを出すところまでもっていけないと感じました」