「みんなが割り切って守備に回れる点が強み」
同23分にはアルディージャが仕掛けたカウンターを食い止め、そのまま攻め上がった左サイドバックの山中亮輔が、ペナルティーエリアのやや外側から鮮やかなミドルシュートを一閃。相手の反撃を1点に抑えて手にした白星に、中澤は大きな手応えをつかんでいた。
「大宮のパスサッカーに対して、非常に難しい立ち上がりとなってしまった。前からプレッシャーをかけられたし、なかなかマリノスの時間帯が訪れなかったけど、そのなかでも我慢して0‐0の展開から後半に勝負を仕掛けるという、いまのマリノスの強みが出た試合だと思います」
前半をスコアレスで折り返した試合は、それまでにも4度あった。しかし、後半に3ゴールを奪った北海道コンサドーレ札幌との第2節を除いて、鹿島アントラーズ、セレッソ大阪、そしてガンバ大阪にはいずれも耐え切れずに先制点を許し、そのまま零封負けしている。
ターニングポイントとなったのは6月4日の川崎フロンターレ戦だ。相手が得意とするポゼッションスタイルの前に圧倒的にボールを支配されながらも必死に耐え忍び、後半に入ってカウンターからウーゴ・ヴィエイラが、ロングボールからFW富樫敬真がゴールを奪ってうっちゃってみせた。
体を張って自分たちのゴールを死守し続ければ、相手のプレッシャーが弱まってくる後半になれば必ず得点を奪える――。守備陣と攻撃陣の間に芽生えた信頼感、あるいは一種の“あうんの呼吸”が、右肩上がりに転じてきたマリノスの土台を支えていると中澤は力を込める。
「前半は攻めることができなくてもしょうがないと、ある意味で割り切って我慢する。そういうところも大事なのかなという部分で、いまは(齋藤)学もマルちゃん(マルティノス)も本当に一生懸命守備をしてくれる。まあ、ウーゴ(・ヴィエイラ)は別ですけどね(笑)。
いまのマリノスはまず守備から入っていくし、そこの部分がなくなれば多分ダメになっちゃうので。守備の意識を高くもちながら、そのなかでチャンスが訪れれば一撃で仕留める。0‐0の状態が続いても、みんなが割り切って守備に回れる点が非常に強みなのかなと」