MVPはケイン。トッテナムは真のビッグクラブになれるか
昨季のチームMVPを挙げるとすれば、やはりケインじゃないでしょうか。いつもスロースターターですけど、やっぱりこの1トップが最前線にいて周りの選手が受けられる恩恵は本当に大きいです。点を取るだけではなく、それ以外の仕事も器用に、また非常に高いレベルでこなすトータルバランスに優れた、過去で言えばマルコ・ファン・バステン、今でいうとロベルト・レバンドフスキと似たタイプのセンターFWです。
フィニッシュの形も実に多彩で、ミドルシュートが打てて、ドリブルからのシュートもある、さらにはクロスボールにワンタッチで合わせることもできるまさに欠点のないストライカーです。
ソン・フンミンはこれまで惜しいところまでいきながら、ゴールを決められなかった選手でしたが、昨季はしっかりゴールという結果を残せるようになりました。シュートは元々うまかったですが、より繊細な技術を獲得しつつペナルティエリア内での冷静さが向上して素晴らしいシーズンを送りました。
彼もまたオフ・ザ・ボールの動き方がうまく、サイズもあってパワーもスピードもあります。ですのでチームのスタイルに馴染んだら十分にやれる選手なんだろうとは思っていましたが、ついに覚醒というところまで来ましたね。
仮にケインがどこかへ行ってしまった、あるいはデリ・アリが出ていってしまったらそれだけでチーム力はだいぶ変わってしまいますが、これだけしっかりとしたビジョンを持っているクラブです。明確な目標を掲げ、より高いレベルを目指しているからこそビックリするほど素晴らしい練習場を作り、ポチェッティーノという若くて野心のある監督を呼んだわけですから、おそらくはそう簡単に選手が流出することはないと思います。
新シーズンはウェンブリー・スタジアムがホームになりますが、ホームとはいえホームではないスタジアムでどれだけの戦いができるのか、現体制では2度目のチャレンジとなるCLでは前シーズン以上の成績を残すことができるのか、大いに期待したいところです。
2018/19シーズンには新しいホワイト・ハートレーンが誕生しますし。すでにそうなってきているとは思いますが、スパーズは「あそこでプレーしたい」と思われるクラブに、今後さらに進化していくでしょうね。
(解説:戸田和幸/構成:フットボールチャンネル編集部)
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