“異質な”ライプツィヒの躍進。人々の興味引く格好の話題に
こうした事例は、確かに5.01のCに抵触するかもしれない。レッドブルが「2つ以上のクラブにコントロールや影響をもたらす法人」と見なされる、ということなのだろう。
こうして“SN砲”による問題提起は、それから毎月のようにドイツメディアを賑わせることになった。UEFAによる公式見解はシーズン終了まで待たなければならず、お上が正式に判断を下さない以上は、大会規約を基にいかようにでも論じることができる。
それはRBライプツィヒがUEFAのファイナンシャル・フェアプレーの規定に違反しているかどうかという、別の論点にまで飛び火した。異質な新興クラブが快進撃を続け、今季の成功を収めたとしても、来季の晴れ舞台には立てないかもしれない。それは良くも悪くも、人の心をくすぐる格好の話題だった。
そうこうするうちにシーズンは5月に終了。RBライプツィヒはドイツ・ブンデスリーガを2位で、RBザルツブルクはオーストリア・ブンデスリーガを優勝で締めくくった。
そして運命の6月20日、UEFAによる正式発表。UEFAクラブ・ファイナンシャル・コントロール機関(CFCB)の裁定部門が、両クラブの来季CL出場を認めることを決めた。同部門は、UCL大会規約の第5条(大会の完全性)の規定に違反はなかったとの判断を下している。
なぜ規定に違反はなかったのか、現時点で公式HPに詳細は記されていない。正式発表当日の『ビルト』電子版が記しているように、“メインスポンサー”と“共同出資者”という立ち位置の違いが、ポイントの1つとなったのだろう。
今後も規則が完全に守られるよう、引き続きCFCBは両クラブの監視を行うという。しかしそもそもレッドブルは、ドイツ・ブンデスリーガでもそうだが、“規定”に対してあまりに抜け目がない。ちょっとやそっとのことで、引き摺り下ろされることはなさそうだ。
(文:本田千尋【ドイツ】)
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