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Jリーグ 7年前

日本とスペイン、インテンシティーの相違が生まれる理由。育成年代における戦術の叩き込み

text by 小澤一郎 photo by Editorial Staff, Getty Images

アグレッシブさと緻密な守備戦術

エイバルでプレーしている乾貴士
エイバルでプレーしている乾貴士【写真:Getty Images】

 指導者の問題でもう一つ触れておきたいのが育成年代における戦術指導だ。日本ではいまだに「ジュニア年代からの戦術指導は必要か?」といった議論があるが、サッカーをプレーする上では年齢・レベルに関係なく「問題を解決する行為」にあたる戦術は必要不可欠なものである。

 しかし、筆者がよく知るスペインの育成年代と比較した時に、日本の現場での戦術指導は「ないに等しい」ボリュームとレベルだ。

 クラブの予算規模からすれば1部残留で御の字のエイバルがラ・リーガにおいて昨季10位フィニッシュという大躍進を果たした背景には、メンディリバル監督のアグレッシブかつ緻密な守備戦術があった。

 当たり前だが「アグレッシブにハイプレスをかける」という守備戦術を採用したとしても、通常前線の選手は相手の最終ラインに対して数的不利を強いられるわけで、前の選手ほど相手を2人、3人とつかまえる中間ポジションを取る必要がある。

 乾がラ・リーガ2年目で飛躍的に向上させたのがこの守備のポジショニングだ。例えばエイバルでの乾は左サイドハーフを定位置とするが、逆サイドにボールがある時には中に絞りながら相手の右CB、右SB、ボランチ(インサイドハーフ)という3人をつかまえる中間ポジションを常に取り続けている。乾自身、「その3人の中心にポジションを取るよう監督に言われています」と明かしている。

 今季初ゴールとなったビジャレアル戦で見せたように、タイミングと角度が合えば思い切って右CBやボランチにアプローチをかける守備もする。

 乾がスペインへ渡ってからよく口にする「スペイン人の賢さ」、「戦術理解度の高さ」とは「=守備におけるポジショニング」と同義であり、スペインではチームを構成して年間リーグを戦う7歳、8歳からそうした守備のポジショニングを指導者が細かく指導している。

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