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川島永嗣と酒井宏樹、フランスで確かな足跡残した2人の日本人。来る新シーズンへ高まる期待

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

酒井宏樹を信頼するマルセイユのガルシア監督

マルセイユのリュディ・ガルシア監督
マルセイユのリュディ・ガルシア監督【写真:Getty Images】

 余談だが、ガルシア監督はよく酒井を庇うような発言をする。

 以前にも会見で、PSGの失点シーンはマークの受け渡しミスがあった、という話題が出た時、「ヒロキのせいではない。ああいう場面では先輩選手が統率すべきだ」と、「コミュニケーションがハンディになったのでは?」と記者たちが穿ちかねない場面で先手を打った。そして記者たちに向かって「君たち、私が言ってないことは先走って書いたりするなよ!」と釘まで刺していた。

 昨季は純粋な右サイドバックが酒井しかいなかったから、来季は当然補強するのかと、その意向について尋ねたら、「右サイドバックの補強は急務ではない」とガルシア監督は即答した。

「競争があったほうがサカイのためにも成長につながるからいいことだし、実際昨シーズンは人員不足で厳しい時もあったから考える必要はあるが、フボチャンやファンニもいるし、最優先事項ではない」と。

 そして最後に、「彼のような選手を指導できるのは喜びでしかない」と言った。

 ガルシア監督は、一所懸命に取り組むハードワーカータイプの選手を好むと前に聞いたことがあったが、監督の酒井への信頼は、相当なレベルまで達しているようだ。そしてサポーターと記者たちもそれに続く。

 クラブ愛が異常に深いマルセイユのサポーターや番記者たちは、いったん「自分たちの選手」となった者はとことん後押ししてくれる傾向がある。サポーターも記者たちも最初は懐疑的だったが、シーズン後半戦には「サカイはマルセイユになくてはならない選手」とまで言うようになった。

 昨シーズン、リーグアンに初挑戦した川島と酒井。置かれた状況は違っていたが、たとえ厳しいチャレンジでも取り組み方で事態は変わる、ということを、2人は身を持って証明した。そしてその本人たちの努力で、来る新シーズンは、さらに活躍に期待がもてるものとなった。

 開幕戦、マルセイユはディジョン、メスはギャンガンを迎える。リーグアンの17-18シーズンは、8月5日にキックオフだ。

(取材・文:小川由紀子【フランス】)

【了】

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