堂安を勝利で送り出せなかったという心残り
もっとも、井手口本人はコンディション的には問題なかったのだろう。試合に対する飢餓感を爆発させるかのような、鳥肌が立つ思いを抱かせるほどの運動量と闘争心をフロンターレ戦で全開にし続けた。
「(後半途中から)4‐4‐2になってからは上手く連携が取れるようになってきたし、守備も最初よりかはいけていたと思うので。上手くはまって、少しはやりやすくなっていたんじゃないかなと思いますけど」
井手口も自身のパフォーマンスには、及第点に近い評価を与えていた。ただ、画竜点睛を欠いたことが悔しかった。2点目を奪えず、1‐1のドローに終わった結果にちょっぴり表情を曇らせた。
「今日は(堂安)律の最後の試合だったので。しっかりと勝って送り出してあげたかったので、そこがちょっと心残りです」
2つ年下で、ガンバのジュニアユース、そしてユースの後輩でもある18歳のFW堂安律がフロンターレ戦を最後に、7月からの期限付き移籍が決まっているオランダ1部リーグのフローニンゲンへ旅立つ。
「ジュニアユースでもユースでもかぶっていないので。律が中学1年生のときは僕がユースやったし、高校1年生のときはもうトップに上がっていたので。でも、律は誰に対しても人懐こい性格やと思うので、ホンマに毎日しゃべっていましたね。ガンバのジュニアユース、ユースで育ったので、プレー面では何も言わなくてもわかる部分はあるし、プライベートでも気が合うんじゃないかなと」
今度は照れ臭そうに2人の仲を明かす井手口は、移動のバスでは常に堂安の隣に座っていた。昨シーズンからトップチームに昇格しながら、J3が主戦場だった堂安の悩みもよく聞き、ときには励ました。
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