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柴崎岳が証明した確かな実力。テネリフェ、1部昇格ならず…3失点で見せつけられた地力の差

text by 舩木渉 photo by Getty Images

柴崎が証明した確かな実力

柴崎岳
柴崎岳はプレーオフの舞台でクオリティの高さを証明した【写真:Getty Images】

 ホームで優位に立ったヘタフェは落ち着いてボールを回しながら、F・ポルティージョを中心にとどめの1点を狙いにきた。テネリフェは踏ん張ってカウンターを狙う、それが唯一残された活路だった。

 結局、試合終了の笛が鳴るまでにテネリフェは追撃の1点を奪えなかった。昇格プレーオフ決勝2ndレグの最終スコアは1-3、2戦合計2-3。あと一歩及ばず、この数字が両チームの現実的な実力差だろう。激戦を制したヘタフェが来季の1部昇格、そして1年での1部復帰を決めた。

 最後まで食らいついたテネリフェだったが、2ndレグでヘタフェに見せつけられたのは地力の差だった。週に2試合の連戦で3試合連続同じメンバーを起用した、あるいはそうせざるをえなかったテネリフェに対し、ヘタフェは出場停止者などもいながら柔軟にメンバーを入れ替えてチーム力を落とさず戦えていた。昨季まで1部を戦い、トップリーグでの経験豊富な選手が揃っていた強みもヘタフェにはあった。

 とはいえ、柴崎個人がこの昇格プレーオフで見せた輝きは、来季以降につながるポジティブなものだったに違いない。4試合で1ゴール2アシスト、テネリフェを窮地から救うゴールに、決定的なアシストを重ねた姿は非常に逞しかった。チームメイトや監督からの信頼もがっちりとつかんでいた。

 来季もテネリフェに残留するかは不透明だが、ヘタフェとの2試合では1部のレベルでも戦える確かな技術と戦術眼を証明した。守備でも鹿島アントラーズ時代以上に体を張って懸命に走る様子が見られ、スペインに渡ってからの短期間で攻守両面にわたって劇的な成長を遂げている。

 最後の最後で昇格の夢が絶たれ、柴崎にとっても不完全燃焼だったはず。次のシーズンまでの休息期間は短いが、スペインで通用した部分や、まだ足りない部分を改めて見つめ直し、昇格プレーオフで味わった悔しさを来季の戦いにぶつけてほしい。その先にこそ、誰も目にしたことのない高みが見えてくる。

(文:舩木渉)

【了】

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