「優勝するために帰ってきた。もっと勝ちにこだわる」
もちろん要求するだけではない。安藤は自分が求めるものを表現しようとする選手たち以上のプレーを、自分自身で練習中から見せていかなければならないと肝に銘じている。
「1個1個のプレーですけど、目の前の選手に負けているようじゃダメだと思う。そこで勝ち切ったり、戦うところを出しつつ、やっぱり今日の試合(仙台L戦)だったら自分が得点していたら勝てていたので、自分もしっかりやっていきたい」
日本に復帰して「自分の中ではプレッシャーとかはドイツでやって来たときの方が強いので、余裕はある」とは言うものの、合流から日が浅く、まだ周りと呼吸が合わない場面も見られる。「チームの中で自分を出せていない」のがもどかしいという。
安藤自身が前線で誰よりも戦う姿勢を見せてボールを奪うきっかけを作っても、リスクを恐れて奪ったボールをすぐ後ろに下げてしまうことも多い。シュートを打つ回数もまだ理想には程遠い。改善すべき課題は山積状態だ。
「自分が(周りに)合わせる部分もあるけど、自分としては要求して、浦和にポゼッションにプラスして前への迫力みたいなものを出していきたいなと思う。今日(駒場で)試合をしてみて、たくさんサポーターが熱い応援をしてくれている。優勝するために帰ってきたので、もっと勝ちにこだわって、強いチームにしたいと思います」
ヨーロッパで数々の修羅場をくぐり抜けてきたベテランFWは、メディアの前で的確かつ鋭くチームの課題を指摘していく。そのうえでピッチに立てば誰よりも勝ちにこだわる姿勢を見せ、若いチームメイトたちを引っ張っている。
来月9日に35歳の誕生日を迎える安藤にとって、浦和Lでの挑戦はキャリアの集大成となるかもしれない。故に並々ならぬ決意と覚悟を胸に日本復帰を決断した。これからは愛するチームとともに「優勝」という大きな目標に向かって持てる力のすべてを注いでいく。
(取材・文:舩木渉)
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