レイソルが見出した「8+3」の最適なバランス
勝ち点3を奪えなかった悔しさを封印した中谷は、次節での勝利へ向けて努めて前を向いた。サッカーに年齢は関係がない、ということを全身で表現している後輩へ、中川もあらためて信頼を寄せる。
「僕たちがいまやりたいサッカーにおいて、必要不可欠な存在なので。非常に賢い選手ですし、加えて上手さ、強さ、カバー能力もあると全員で共有できている。常にそれらを遂行してくれるので」
ヴァンフォーレ甲府戦でも先発陣の「8+3」は継続されている。連勝が始まったヴィッセル戦以降はクリスティアーノ、伊東、レノファ山口から加入した右サイドバック・小池龍太が「3」を担っている。
一貫したコンセプトのもと、2010シーズンから長い歳月をかけて育んできたアカデミー出身の若手たちに、クリスティアーノの得点力、伊東のスピード、そして小池の運動量と闘争心が融合された。
アカデミーの指導だけではまかなえない部分を、外部からの“血”で補う。外国人3人ではなく、外国人+日本人2人という形になったが、レイソルは「8+3」の最適なバランスを見つけたといっていい。
連勝は止まったが、9試合無敗は続いている。クリスティアーノのシュートが相手ゴールのバーとポストを叩く不運にも見舞われたヴァンフォーレ甲府戦だが、チームの雰囲気は悪くないと中川は強調する
「5連勝、6連勝と続いてきたときも、僕たちは決して勢いで勝ってきたわけじゃないので。相手の5枚(の最終ライン)が最初から引き気味になる中でどう動かして、崩すか。いろいろと手は尽くしたけど、これが僕たちの現状であり実力。今日のような相手はまだいるので、改善していきたいと思う」
長い歳月が費やされた末に、理想の戦い方を手にしたレイソルの快進撃は本物だろう。小休止を強いられたヴァンフォーレ戦で突きつけられた、ハイプレスが通じない引いた相手をこじ開ける課題も成長の糧にしながら、必然に導かれた強さに磨きをかけていく。(文中一部敬称略)
(取材・文:藤江直人)
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