ターニングポイントは2010年。長期的視野に立った育成改革
競争の結果として「8+3」が現実のものとなったと力を込める下平監督は、レイソルのターニングポイントとなった2010シーズンから、6年間にわたってU-18監督を務めていた。
当時のトップチームは名将ネルシーニョ(現ヴィッセル神戸監督)の下で、J2からJ1へ昇格し、直後の2011シーズンには悲願のJ1制覇を達成。翌2012シーズンは天皇杯、2013シーズンにはヤマザキナビスコカップ(現YBCルヴァンカップ)を制した。一方で、レイソル強化部が長期的視野に立ち、アカデミーを軸にしたチーム作りを進めてきたことがわかる。
2015シーズンには吉田がトップチームの監督に就任。ピラミッドの頂点に自らのコンセプトを浸透させ始めたが、2ndステージの不振もあり、契約を1年残してチームを去ることになった。
後任のメンデス前監督は球際の激しい攻防と、縦に速いサッカーを標榜。前任者と180度異なるスタイルでチームが混乱に陥ったことで、開幕から3試合を終えた段階で指揮官交代に踏み切る緊急事態に至った。
ヘッドコーチから昇格する形で指揮を執った下平監督は、アカデミーから一貫されているコンセプトをトップチームでも継承。同時にメンデス前監督が目指した、激しさや泥臭さも融合させた。
昨季も1stステージで5連勝を、それもすべて完封で達成するクラブ新記録を樹立。2ndステージでも3連勝を2度マークしたが、今季とは全く異なると指揮官は苦笑する。
「昨年は僕自身も監督になってすぐで、何だかよくわからないというか、勢いで勝った感じも実際にありました。今年はチームが着実に力をつけてきていると僕自身が実感していますし、選手たちがやるべきことをしっかり整理していることが見てとれる。そういう積み上げは、去年と違ってあるのかなと」