成功した柴崎のサイドハーフ起用。貴重な先制弾
結果的にメンバー変更は成功。カディスが前の試合ほどの積極性を見せず、前線からのプレスも控えめだったこともあり、センターバックとボランチの4人を中心にしっかりとゲームを組み立てることができた。柴崎のサイド起用も結果につながる。
前半34分、右サイド深くまで侵入したスソがゴール前に低くて速いパスを送ると、そのボールは逆サイドまで流れていく。そこに詰めていたのが、左サイドから走りこんでいた柴崎。完全フリーの状態で、落ち着いてシュートをゴールに蹴り込んだ。
この1点でテネリフェは2戦合計スコアを1-1とし、プレーオフ決勝進出に望みをつなぐ。当然2万人を超える観客は歓喜に包まれた。
“Si se puede! Si se puede!”
希望を見出したテネリフェファンたちの大合唱が始まる。意味は“Yes we can!”、つまり「俺たちならできる!」。柴崎が島のヒーローになった瞬間だった。
日本のJ1昇格プレーオフは一発勝負で、90分間戦って引き分けの場合はレギュラーシーズンの上位チームが勝ち上がる。だが、スペインはルールが異なり、ホーム&アウェイ方式で行われる。アウェイゴールも含めて2試合合計の得失点差が同じ場合、2ndレグで15分ハーフの延長戦が行われて勝敗を決する。
アウェイで先制を許したカディスだったが、もしアウェイゴールをひとつでも奪えば、その瞬間にテネリフェは勝利のためさらに2ゴールが必要になる状況。当然猛反撃に転じた。
そうなるとテネリフェの守備陣が意地を見せる。今季何度も大ピンチを救ってきた守護神ダニ・エルナンデスが圧巻のスーパーセーブ連発でカディスの攻撃をシャットアウトすれば、4人のDFたちも体を張ってゴールを死守する。
チーム全体でまずは90分間しっかり戦い抜き、2戦合計スコア1-1のまま勝敗の行方は延長戦に託された。