チーム再建に向け、塩谷が必要とされた理由
2016‐17シーズンのアル・アインは4位に甘んじた。12月にUAEで開催されるFIFAクラブワールドカップ2017の開催国枠を優勝したアル・ジャジーラに奪われたばかりか、2018シーズンのACL出場権をも逃す非常事態に、クラブ側は危機感を募らせていたのだろう。
2位のアル・ワスルとの勝ち点差は2、3位のアル・アハリとのそれはわずか1しかなかった。26試合で喫した37失点は、アル・ジャジーラの15失点と比べればいかに多いかがわかる。ちなみにアル・ワスルは26失点、アル・アハリも18失点とアル・アインより少ない。
チームの再建を目指すうえで、最終ラインを含めた守備陣の強化は必要不可欠。昨夏のリオデジャネイロ五輪にオーバーエイジ枠で出場し、ハビエル・アギーレ前監督時代には日本代表として2つのキャップも獲得している塩谷にかけられる期待は大きい。
J2の水戸ホーリーホックから、2012年8月にサンフレッチェ広島へ完全移籍。そのシーズンを含めて3度のJ1制覇を達成した強豪で、3バックで組む最終ラインの右における存在感を不動のものとしながら、塩谷は日本代表への憧憬の念を膨らませていった。
徳島商業高校、国士舘大学を通じて、塩谷は年代別の日本代表と無縁だった。リオデジャネイロ五輪の代表に選出された昨年6月。五輪開催中も中断されないJ1戦線を留守にする心残りを、日の丸を背負って初めて臨む国際大会への熱い思いが上回った末の決断だったと明かしている。
「僕はアジアカップに行っても試合に出られなかった。五輪へオーバーエイジで行くということは、中心としてやらなきゃいけないということ。経験したくてできることではないし、出たくても出られる場所でもない。五輪に対する思いというのは非常に強い」