カタールW杯への影響は?
そういえばPSGのアル・ケライフィ会長と最初にインタビューを行ったときに指定された場所がシャンゼリゼからそう遠くない瀟洒なエリアにあるロイヤル・モンソーホテルだった。
中東諸国の名産物であるオイル漬けのオリープやでっかいナッツなどを会長の側近たちがボリボリ頬張っていたのを見たときに、パリではなく、彼らのテリトリーにいるような錯覚を感じたのを覚えている。(ちなみにこの税金優遇措置は「この先も続くことは考え難い」と、マクロン大統領のもと新司法大臣に任命されたフランソワ・バイルー氏が国交断絶の発表後間もなくコメントしている)。
そしてもうひとつの懸念事項である2022年のカタールでのワールドカップ開催についてだが、世界各国での憶測を鎮めるかのようにFIFAのジャンニ・インファンティーノ会長が6月11日、スイスの日曜紙(『Le Matin Dimanche』紙と『Sonntagszeitung』紙)に、会長自身は今から5年半先の大会時には外交事情も平常化しているだろうと期待しており、FIFAとしては「カタールでの開催が暗礁に乗り上げるのでは?」といった憶測に同調する気は一切ないこと、そしてFIFAはあくまでも「フットボールを通じて世界と交流を図る機関であり、地政学にまつわる問題に関与することはない」とコメントした。
たしかに5年半後のことはどうなっているかわからない。今のように、毎朝のようにニュースを開けばどこかの街でテロ事件が起きている、というようなことも、5年半前にはなかったことなのだから。
インファンティーノ会長が言うように、フットボールは外交や政治問題とは関係のない場所にあるべきものだが、マネーの動きや治安問題なども含めて、いまやまったく影響がないとはいえない世の中になってきている。
(取材・文:小川由紀子【フランス】)
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