前に出ていくプレーが真骨頂

「サッカーをやるならゴールキーパーを」と兄に勧められたこと。『キャプテン翼』の若林源三、若島津健に憧れたこと。また、ひとりだけ違う色のユニフォームを着られることからゴールキーパーに関心を持ったという川口選手。本格的に守護神への道を歩み始めたのは、小学校4年生のときにキーパーの子が休んだ試合でゴールを守り、勝ったことがきっかけだった。

「よみうりの人工芝で全少（全日本少年サッカー大会）の決勝戦をやるのが夢だった」という川口選手のプレースタイルは、子どものときから築き上げてきたもの。

「どちらかというとシュートを打つ相手の足許に飛び込むプレーのほうが好きだったんですね。性格的に“待つ”よりも、奪いに行くタイプだったんです。中学（※1）のときの桜井和好先生、高校（※2）のときの大滝雅良先生は『そのスタイルでやれ』と、ぼくのよさを最大限に引き出してくれた。それによって大きな自信になったし、これがいいんだ！　と確信できたんです」

　高校の途中までは大学進学を希望していたが、高校2年生のとき、ワールドユースのアジア予選準決勝で韓国に敗退。世界行きの切符を逃した悔しさと、本来はU-17年代ながらひとつ上のU-19に参加し、“飛び級”で得た自信をさらに大きくしたいという気持ちから、プロ入りを決意した。

　プロとなって初めに加入した横浜マリノスには、正ゴールキーパーだった日本代表の松永成立選手が在籍。プレーはもちろん、試合に向けて日頃どういう取り組みをし、ピッチ外でプロにふさわしくどう振る舞っているのか、そのすべてを観察して学び続けた。

※1　東海大学第一中学校。現在の東海大学付属静岡翔洋高等学校・中等部
※2　清水市立商業高等学校。現在の静岡市立清水桜が丘高等学校

常に高みをめざして歩み続ける

　若くして伝統あるビッグクラブ、横浜マリノスの正キーパーになった川口選手は、日本代表で齢の近い楢崎正剛選手とよきライバル関係を築き、どんどんそのプレーのレベルを上げていった。

「彼も若くして試合に出始めたということで、お互いが自分が一番だという気持ちで譲らなかった。でも仲が悪かったかというとそんなことは全然なく、それぞれの実力を認めつつ、試合ではぼくが出たら正剛が応援する、正剛が出たらぼくがチームが勝利するためにサポートする、そんな関係でした。

　ミスをしたり、パフォーマンスが悪かったらすぐに変えられるという危機感、緊張感が常にあるなかで、お互いのレベルが上がっていったのは事実でしたね。日本代表のときに高いレベルでゴールマウスを守れていたのはそういう関係があったからこそじゃないかな、と思います」

　オリンピック、ワールドカップを経験した川口選手は、さらなる高みを求めてイングランドのポーツマスへ移籍。しかし当時は日本のサッカー選手に海外挑戦のノウハウがほとんどない時代。英国ではプレースタイルの違いに苦労したという。

「広い範囲を守るのがぼくの特長のひとつです。ゴール前の混戦を避けたいと思い、『ある程度スペースを空けてくれ、自分が前に出るから』と、練習の場で監督や選手に伝えたけど、いざゲームに入ると、どうしてもゴール前の混戦が多くなるんです。イングランドの2部は中盤のつぶし合いよりもゴール前の攻防なんですよね。自分のプレースタイルがなかなか理解してもらえず、苦労しました」

　現在はJ3のSC相模原に所属。ベテランの域に達した川口選手が若手に伝えるべきものは何かと問うと、意外にも“教えない”ことが重要なのだという。

「ヒントは教えるかもしれませんけど、答えそのものを教えるつもりはないんです。教えてしまったら競争にならないから。ぼくも若手と同じように試合に出るための準備をして、トレーニングをする。その姿を若手の選手たちが見る。そのように“手本”となることこそがベテラン選手がやる役割じゃないかな、と。自分が41歳で現役としてプレーしているなかで、それは感じましたね」

　ベテランという立場でサッカーを続けている人間が24時間をどのように過ごすかをつぶさに観察し理解すれば、それが若手にとって最高の勉強になると知っている。だからこそ、あえて教えない。名手ならではの深い配慮がそこにはあった。

　生涯現役。川口選手の歩みは、まだまだ止まる気配がない。

初体験も“分身”の好セーブに絶叫！

　過去の『サカつく』シリーズでもユーザーに大人気だと知ると大喜びで興味を持った川口選手。さっそく『サカつくシュート！2017』を遊んでもらうことになった。

「ぼくは選手たちがゲームやってるのをよく見てるんですよ。サッカーゲームの実際のプレーは中盤の選手がうまい印象です。シュン（中村俊輔）とかケンゴ（中村憲剛）のプレーを見るのは本当に楽しいですね。ハイレベルなチャンピオンズリーグを観るような感覚で見ていました。自分のゲーム内の能力値は……出てるのがうれしいのであまりに気にしないですね（笑）」

　今回のイベントではログインボーナス、そしてクリア報酬とガチャで自身のゲームキャラクター「魂の守護神 川口能活」「燃え滾る炎の守護神 川口能活」が手に入ると聞き、ふむふむとうなずく川口さん。テクニック属性の設定、称号（キャッチコピー）、そして数値にも納得の表情だった。

「ぼくはプレースタイル的にパワーではないんですよ。キーパーとしてバシッと止めるのではなくしっかりと吸い付かせるキャッチングの技術、そしてキレ（反応）には自信があります」とのご返答。アトランタ五輪でべべトのシュートを止めまくり、2004アジアカップ準々決勝ヨルダン戦のPK戦で3連続ストップ＋1ポストで大逆転した神業が、「PKセーブ」と「レスポンス」の高さに反映されている。

　完全に見守るのではなく「ある程度ボタンを押して指示をする」というゲームシステムを把握するまでに少し戸惑いがあった川口選手。ゴールに近づいてからシュートボタンを押す、ボールマンの相手選手に味方が近づいてからプレスボタンを押すという使い分けを憶えてからは試合を思いどおりの展開に進められるようになった！

　ピンチをシュートストップで“分身”が防いだときにはガッツポーズで拳が上がる。選手たちを監督視点で動かす「サカつくシュート！2017」のおもしろさに気づき、最後はすっかり熱中している様子だった。

　川口“監督”をうならせた「川口能活」でゴールを守り、あなたも今回のイベントを勝ち抜こう！