急上昇した「日豪戦」の重要度。豪州側のシナリオは…
飛車角落ちの相手に試合開始わずか12秒で失点。後半明らかにギアを落としてきた相手にさらに3失点。終わってみれば0-4の敗戦から得たものはあまりに少ない。それらの失点も、サウジアラビア戦から何も改善されていない中盤の底と3バックの距離感がつかめないまま、あまりにあっさりと喫したもので、今後に大いに不安を残した。
ここまで戦いながらチームを強化して結果を出してきたポスタコグルー体制下の豪州。アジア代表として臨むコンフェデレーションズ杯では、ドイツ、カメルーン、チリと、各大陸王者の強豪とあいまみえる。
この大会では、新システムへの自信と勝敗はともかく、強豪相手にきちんとした試合内容が求められる。さもなければ8月31日に迫る天下分け目の日豪戦までに立て直しが間に合わないような事態も起こりかねない。それは、ポスタコグルーとサッカルーズが一番避けたいシナリオだ。
6月13日、日本は中立地テヘランでイラクに引き分けが精いっぱいで、勝ち点1を積み上げるだけにとどまった。この結果を受けて、次の「日豪戦」の両国にとっての重要性が一気に上がった。4年前、埼玉スタジアムで日本のW杯出場決定を見せつけられた苦い思い出があるサッカルーズは、さすがに同じ轍を踏みたくないだろう。
それだけに、この試合で乾坤一擲の勝負に打って出てくるに違いない。日豪戦の後の両国はそれぞれ、アウェイでのサウジアラビア戦、ホームでのタイ戦を控える。この日程を考えれば、日本も当然ながらホームの地でW杯出場を決めにくる。久々のガチンコ中のガチンコ勝負となりそうな日豪戦は激戦必至。当然現地で見守るつもりだが、今から指折り数えてその日を待ちたい。
(取材・文:植松久隆)
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