ウェールズ代表のアーロン・ラムジー【写真:Getty Images】
ロシア・ワールドカップ(W杯)欧州予選グループDのセルビア対ウェールズ戦で、ウェールズ代表MFアーロン・ラムジーが決めた先制ゴールがメディアやファンの注目を集めている。
エースのガレス・ベイルを出場停止で欠いたウェールズだが、セルビアに対して前半にPKを獲得。アーセナル所属のラムジーは、GKの意表を突くチップキックで冷静にゴールネットを揺らした。
欧州で“パネンカ”と呼ばれることが日本でもよく知られるようになったこのキックは、成功させれば大胆さを称賛される反面、失敗すれば普通のPK以上に批判の対象となるハイリスク・ハイリターンなもの。近年ではアンドレア・ピルロやセルヒオ・ラモス、リオネル・メッシなどが決めたものが話題となった。
ラムジーの成功させたゴールが特に称賛されるのは、決めた場所がパネンカ“誕生の地”だったためだ。この名称は、チェコスロバキア代表として活躍したアントニーン・パネンカが1976年欧州選手権ユーゴスラビア大会の決勝で決めたPKに由来している。
西ドイツとの決勝がPK戦にもつれ込み、5人目のキッカーであるパネンカが決めれば勝利という場面で、パネンカは歴史に残る浮き球シュートを放ってチェコスロバキアを優勝に導いた。その場所が、今回のウェールズが戦ったのと同じ、ベオグラードのレッドスター・スタジアムだった。
だが試合自体は、ホームのセルビアが後半に同点ゴールを奪い、1-1のドローに終わった。EURO2016では準決勝進出の大躍進を見せたウェールズだが、グループ1位と2位のセルビアとアイルランドに4ポイントの差をつけられ、60年ぶり2度目のW杯出場に向けた状況は厳しいものとなっている。
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