「こういう試合は戦術とかだけじゃない」
そのひたむきな姿勢はチームに間違いなく好影響を与えている。長谷部誠(フランクフルト)という絶対的キャプテンがケガで離脱している今、彼の思いも背負いながら、率先してチーム全体の意思統一を図れるのは、やはり34歳のベテラン守護神以外にいない。そう言っても過言ではないだろう。
日本の最終ラインは今回も昌子源(鹿島)、あるいは槙野智章(浦和)というセンターバックとしては最終予選未経験の選手が入ることになる。吉田麻也(サウサンプトン)や長友のような経験豊富なDFがいるのは心強い要素だが、ちょっとしたラインコントロールのズレやギャップが生じる場面がないとは限らない。
そんな時、最後の砦になるのがGKだ。不確定要素の多い最終ラインを最大限サポートし、無失点へと持っていくこと。それがイラク戦の川島に託されたもうひとつの重要な仕事と言える。
「こういう難しいゲームは試合の中で何ができるかが一番大事。いくら事前に話をしていても、ホントに厳しいアウェイの中で自分たちがしっかりと対応できるかだと思う。こういう試合は戦術とかだけじゃないし、どれだけ精神的な強さを見せられるかも重要になってくる」と彼が語気を強めるように、選手全員が戦況を見ながら臨機応変な対応を見せ、意思統一を崩すことなく戦えれば、日本は必ずいい方向に進むはず。
チーム全体をポジティブな方向へ導くべく、川島には改めてパフォーマンスとリーダーシップの両面で力強い貢献をしてほしいものである。
(取材・文:元川悦子)
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