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日本代表 7年前

川島永嗣、苦境経て進化した守護神の決意。不確定要素多い守備陣、勝負所で頼れる最後の砦

text by 元川悦子 photo by Getty Images

数々の逆境を跳ね除けてきた川島

 シリア戦の失点がリスタートからだったことも改善すべき重要なポイントだ。

「イラクのストロングポイントもカウンターやセットプレー。自分たちがホントに集中を高めていかないといけない部分だと思います。それを防ぐために、自分たち自身で声をかけなければいけない。この暑さで集中力が途切れることもあるから、気づいた人が声をかけたりと状況に応じて対応することが必要だと思いますね」とベテランGKは守備陣のリーダーという自覚をこれまで以上に高め、最後尾からの声かけを強く意識していくつもりだ。

 それを徹底しなければ、したたかなイラクにチャンスを作られるのは必至。実際、昨年10月のホームゲーム(埼玉)でも、原口元気(ヘルタ・ベルリン)のゴールで1-0とリードしていた後半15分、酒井宏樹(マルセイユ)が与えたフリーキックをアブドゥルアミールに頭で決められ、同点に追いつかれている。

 この時、ペナルティエリア内で競り合いに勝ちきれなかった酒井高徳(ハンブルガーSV)は「あの試合は思い返す必要はない。アウェイとホームとは全然違いますし」と努めて前を向こうとしていたが、同様のシーンに直面したらまずマークを徹底し、GKが確実にシュートをブロックして、失点を回避することが肝要だ。そして8ヶ月前の一戦をベンチで見守った川島には「絶対に同じミスはしない」という確固たる決意があるはずである。

 仮に予期せぬ苦境が訪れたとしても、数々の逆境を跳ね除けてきた川島であれば、ブレることなく周りを鼓舞し続けられるに違いない。そのメンタルの強さは、昨季後半を過ごしたスコットランドのダンディー・ユナイテッド、フランスのメスでも実証されている。

 とりわけ、メスでは昨夏の契約当初、トマ・ディディヨンとダディ・オーバーハウザーという下部組織出身の若いGKの控えという立場から、諦めることなく出番をうかがい続け、最終的にフィリップ・ヒンシュベルガー監督の評価を覆すことに成功。

 チームの1部残留の原動力になった。そのタフさと粘り強さは日本代表でも発揮され、3月のUAE戦(アルアイン)から正守護神の座を奪回。ハリルホジッチ監督の信頼もガッチリとつかんでいる。

「代表というのはみんなが行きたい、プレーしたい、日の丸を背負いたいと思う場所。(ハリルホジッチ)監督は最高のものをチームに求めていると思うし、自分自身がその基準や監督の哲学に合わなければ呼ばれない。常に最高を求め続けなければ、そこに入る資格はない」と川島は常日頃から自らに言い聞かせるように語っている。

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