イラク戦、日本の総力結集し勝ち点3奪取を
攻撃面でも、原口、乾との縦関係をより一層、研ぎ澄ませる努力が求められる。「(酒井)高徳はどっちかというと器用というか、ビルドアップの部分でかなり工夫してやってくれる。それが彼のよさかなと思います」と原口は話したが、最終予選序盤4試合で背番号8が光ったのも、酒井高徳が背後からいいサポートを見せてくれたから。それはひとつの大きなポイントだ。
乾がシリア戦で目覚ましい働きを示したため、イラク戦はどちらが先発出場するか分からないところもあるが、原口&高徳の迫力ある縦関係を取り戻せれば、日本はゴールに近づくだろう。
乾が左FWに入る場合、どの左サイドバックも一緒にプレーした経験は少ない。だが、ハンブルガーSVで強烈な個性を持った攻撃陣と常日頃からプレーしている酒井高徳なら、高度なテクニックを駆使したドリブル突破を得意とする乾をうまく活かす方法をすぐに考え、実践できるはず。試合までの準備期間はわずか4日と少ないが、できる限りのすり合わせをしていくしかない。
香川が離脱し、山口も欠場の危機に瀕している中盤、昌子がトライされているセンターバック含め、今回のイラク戦はあらゆるポジションに不安がつきまとう。日本としてはまさに総合力を問われる状況だ。2010年南アフリカW杯から代表を支えてきた長谷部や本田圭佑(ミラン)、岡崎慎司(レスター)らが軒並み30代に突入する中、彼らの不在や苦しい時は必ず訪れる。それをうまく乗り切ってこそ、日本は次なる一歩を力強く踏み出せる。
左サイドに君臨し続けてきた長友のポジションは特にテコ入れが求められる。酒井高徳を筆頭に若い世代が十分にやれることを示す絶好のチャンスでもある。もちろん長友が軽傷で、プレーに支障がなければ問題ないが、長友と酒井高徳、あるいは別の選手を使い回していくようなバリエーションを持てなければ、今後も安心して戦えない。
選手層を広げつつ、イラクから勝ち点3をつかめれば日本にとっては理想的だ。そんなシナリオを現実にしてもらいたい。
(取材・文:元川悦子)
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